債務上限問題でアメリカはデフォルトになるのか?世界経済に及ぼす影響と対策

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アメリカの政府は、国債などを発行して借金できる上限が法律で定められています。この上限を債務上限と呼びます。

債務上限は議会の承認が必要です。引き上げられなければ国債の償還や利払いができなくなります。その結果、債務不履行(デフォルト)に陥る可能性があります。アメリカ国債は信頼性が高く、世界の金融市場で重要な役割を果たしています。

そのため、デフォルトになれば世界経済に大きな混乱や影響を及ぼす恐れがあります。しかし、現在のバイデン政権と野党・共和党の間では、債務上限の引き上げをめぐって対立が続いており、協議は難航しています。

この記事では、アメリカの債務上限問題について様々な視点から私たちにできる対策はあるのかについて解説します。

1.債務上限問題はなぜ起こっているのか?

アメリカでは財政規律を守るために、政府が国債などを発行して借金できる上限が決められています。この上限は1917年に第一次世界大戦の戦費調達のために導入されました。当初は国債の種類ごとに上限が設定されていました。ですが、1939年からは総額で上限が決められるようになりました。現在の債務上限は31兆3800億ドル余りで、20年前の7兆3800億ドル余りと比べて4倍以上となっています⁴。

この上限を引き上げるためには議会の承認が必要です。これまでにも政府と議会の間で対立が起こってきました。特に2008年以降の金融危機や新型コロナウイルス感染症対策などで財政支出が拡大したことで、財政赤字や国債残高が増えています。これに対して野党・共和党は財政規律を重視し、歳出削減や減税見直しなどを求めています。

一方、バイデン政権や与党・民主党は経済刺激や社会保障強化などを重視し、歳入増加や減税廃止などを求めています。

このように考え方や利害が食い違っていることから妥協点を見いだせなくなってます。

2.デフォルトになったらどうなるのか?

もし議会が債務上限の引き上げを承認しなければどうなってしまうのでしょうか?

まず、政府は国債の元本や利息を支払えなくなります。これはアメリカ国債が史上初めてデフォルト(債務不履行)することを意味します。アメリカ国債は信頼性が高く安全な資産として知られております。そのことから、世界中の投資家や外国政府が保有しています。その価格や利回りは世界の金融市場で指標となっており、他の資産や通貨とも密接に関係しています。

そのため、デフォルトによってアメリカ国債の価格が暴落し、利回りが急騰することが予想されます。これはアメリカ国債を保有する投資家や外国政府に大きな損失を与え、他の資産や通貨にも波及する可能性があります。

2.1デフォルトになった未来で起こりえる例

  • アメリカ国債から安全資産として見られる金や日本円などへ資金が流出し、価格や為替レートが変動する
  • アメリカ国債からリスク資産として見られる株式や新興国通貨などへ資金が流出し、価格や為替レートが変動する
  • アメリカ国債から他国の国債へ資金が流出し、価格や利回りが変動する
  • アメリカ国内では住宅ローンや企業向け融資などの金利がアメリカ国債利回りに連動して上昇し、借入コストが増加する
  • アメリカ以外でもアメリカ国債利回りに連動して金利水準が変化し、各国中央銀行の金融政策に影響する

また、デフォルトはアメリカ政府自体にも深刻な影響を与えます。政府は国防や社会保障など必要最低限の支出しかできなくなります。これは公務員や軍人、年金受給者など多くの人々に給与や給付金の支払い遅延や停止をもたらします。また、政府機関や公共サービスも閉鎖されたり制限されたりする可能性があります。これらはアメリカ経済だけでなく世界経済にも打撃を与えることになります。

3.債務上限問題は私たちの生活にどんな影響があるか?

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私たち日本人もアメリカのデフォルトから無縁ではありません。日本はアメリカ国債を約1.3京円分保有しております。デフォルトによってその価値が下落すれば日本政府や日本銀行に大きな損失を与えます。また、日本企業もアメリカ市場で活動しております。デフォルトによってアメリカ経済が低迷すれば売上や収益に影響を受けます。さらに、アメリカ国債の利回りの変動は日本国債の利回りにも影響を与えます。そこから、日本の金融政策や財政運営にも制約を生じさせる可能性があります。

私たちの生活にも直接的な影響が出るかもしれません。例えば、

  • アメリカ国債の価格が下落し、円高ドル安が進むと、輸入品の価格が下がります。しかし、輸出品の価格が上がります。これは輸入品を買う消費者にとっては有利です。しかし、輸出産業に従事する労働者や企業にとっては不利です。
  • アメリカ国債の利回りが上昇し、金利水準が高くなると、住宅ローンや教育ローンなどの借入コストが増加します。これは借金を抱える人々にとっては不利です。
  • アメリカ経済の低迷や金融市場の混乱は世界経済にも波及し、日本経済にも悪影響を及ぼします。これは景気や雇用に不安を感じる人々にとっては不利です。

4.債務上限問題が起きたら、私たちにできる対策はあるか?

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アメリカの債務上限問題は政治的な問題であります。よって、私たち個人にできることは限られています。しかし、デフォルトの可能性やその影響を知っておくことは重要です。私たちは以下のようなことを心がけることができます。

  • アメリカ国債やドル建て資産を保有している場合は、その価格や為替レートの変動に注意すること。必要に応じて分散投資やヘッジなどのリスク管理を行うこと。
  • アメリカ市場でビジネスを展開している場合は、その需要や競争環境の変化に注意すること。必要に応じて市場調査や戦略見直しを行うこと。
  • アメリカ経済や金融市場の動向に関心を持ち、最新の情報や分析を入手すること。必要に応じて専門家や相談機関などに助言を求めること。

まとめ

引用:https://th.bing.com/th/id/R.de979e3d16af1b956ae345682f46b41f?rik=LBs510%2boer3gPw&riu=http%3a%2f%2fcdn.4travel.jp%2fimg%2ftcs%2ft%2ftips%2fpict%2fsrc%2f102%2f421%2fsrc_10242176.jpg&ehk=wMMxQPPgpMHWUD%2fPHOdAz5MJO6afHtfUWP7Y9iUn%2fzY%3d&risl=&pid=ImgRaw&r=0

アメリカの債務上限問題は、政府と議会の対立が続いてます。デフォルトになれば世界経済に大きな混乱や影響を及ぼす恐れがあります。私たち日本人もアメリカ国債やドル建て資産の保有や、アメリカ市場でビジネスの展開は注意が必要です。

できる対策は限られていますが、デフォルトの可能性やその影響を知ることは重要です。

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