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今回は、半導体企業 TSMC の日本進出によって、熊本全体で地価が高止まりを続けている現状とメリット・デメリットと今後の展望について考えてみたいと思います。
この記事は、以下記事の続きになります。よかったらそちらもみてください。
目次
1. TSMC進出の背景と影響
TMSCは、台湾の半導体受託生産メーカーで、世界最大のシェアを持っています。半導体受託生産メーカーとは、自社で製品を開発しないで、他社から依頼された半導体の設計や製造を行う会社のことです。TSMCは、アップルやクアルコムなどの有名な半導体メーカーや顧客と幅広いネットワークを持ち、最先端の技術力や生産能力を誇ります。
現在、世界中で半導体不足が深刻化している中、TSMCは積極的に生産能力を拡大しております。その一環として日本に新工場を建設することを決めました。この工場では、自動車や産業用途向けの半導体を製造する予定で、2024年12月から出荷を開始する予定です。
TSMCが日本に新工場を建設する理由には、以下のようなものがあります。
1-1 日本市場への対応
日本は半導体の重要な市場であり、自動車や産業用途などの半導体需要が高まっています。TSMCは日本市場に近い場所で生産することで、顧客との連携やサービスを強化することができます。
1-2 熊本県の協力姿勢
熊本県はTSMCの誘致に積極的に取り組みました。熊本県は用地確保やインフラ整備などの支援を行います。そのうえで、TSMC従業員やその家族のために日本語教育や生活相談などのサポートも行う予定です。
1-3 熊本県の立地条件
熊本県は自然災害や政治的なリスクが低く、安定した電力供給や水資源も豊富です。また、人口密度が低く、感染症対策も容易です。さらに、九州大学や熊本大学などの優秀な人材も魅力的です。
TSMC進出によって、熊本県には多大な経済効果が期待されます。熊本県では、TSMC進出による経済効果は年間約1兆円に達すると試算しています。これは、熊本県の平成30年度の県内総生産（約3.7兆円）の約4分の1に相当します。また、TSMC進出による雇用効果は、TSMC従業員や関連企業の従業員を含めて約2万人にのぼると見込まれています。
2. TSMC進出による不動産分野への影響
TSMC進出によって、熊本県の不動産分野にはどのような影響があるのでしょうか。ここでは、工業地、住宅地、商業地のそれぞれについて見ていきましょう。
2-1. 工業地
TSMC進出の最大の恩恵を受けるのは、工業地です。国土交通省が9月20日に発表した22年度の基準地価では、熊本県菊陽町の工業地が前年から31・6％上昇。全国1位の上昇率となりました。
これはTSMCだけでなく、関連企業や倉庫・物流企業などが用地取得に動いたことが理由とされています。また、菊陽町周辺の大津町や合志市などでも工業地の地価が大きく上昇しており、TSMC進出の波及効果が見られます。今後もTSMCや関連企業の需要は高まると予想されています。これにより、工業地の地価はさらに上昇する可能性があります。
2-2. 住宅地
TSMC進出によって、住宅地の需要も生まれます。TSMCは新たに1200人を超える従業員を雇用する予定です。そのほとんどが台湾から来ると見られています。そのため、TSMC従業員やその家族が住む賃貸マンションやアパートなどの需要が高まります。
また、TSMCや関連企業で働く日本人や外国人も増えることが予想されています。住宅地の需要はさらに拡大するでしょう。実際に、菊陽町や大津町などではマンション建設や土地開発が相次いでおり、住宅地の地価も上昇しています。今後も住民の増加を見越した商業施設や公共施設などの開発が進むことで、住宅地の利便性や魅力も高まると考えられます。
2-3. 商業地
TSMC進出によって、商業地の需要も高まります。TSMC従業員やその家族は日常生活で飲食店やスーパーなどの商業施設を利用することになります。また、TSMCや関連企業と取引する企業や顧客も増えることで、ホテルやレストランなどの商業施設の需要も高まります。
さらに、TSMC進出によって熊本県全体の経済効果も期待されるため、消費活動も活発化する可能性があります。実際に、菊陽町や大津町などでは商業施設の開業や改装が相次いでおり、商業地の地価も上昇しています。今後もTSMC進出に伴う人口増や経済活性化によって、商業地の需要は高まると見込まれます。
3. TSMC進出のメリットとデメリット
TSMC進出によって、熊本県の不動産分野には多くのメリットがあります。一方でデメリットも存在します。ここでは、それぞれについて考えてみましょう。
3-1. メリット
TSMC進出のメリットは、以下のようなものがあります。
3-1-1 地価の上昇
TSMC進出によって、工業地、住宅地、商業地の地価が上昇しました。これは、土地の所有者や売却者にとっては資産価値の向上や利益の増加となります。また、不動産業者や開発業者にとっても取引量や収益の増加となります。
3-1-2 雇用の創出
TSMC進出によって、TSMC従業員や関連企業の従業員を含めて約2万人の雇用が創出されると見込まれています。これは、熊本県内で働く人や移住する人にとっては就職や転職の機会となります。また、雇用が増えることで所得も増え、消費活動や税収も増加します。
3-1-3 経済効果の拡大
TSMC進出によって、熊本県内で年間約1兆円の経済効果が生まれると試算されています。これは、TSMCや関連企業だけでなく、建設業や物流業などの下請け企業や協力企業にも波及し、経済活動全体を活性化させます。また、TSMC進出によって熊本県のブランド力や知名度も向上し、他の企業や人材の誘致にもつながります。
3-2. デメリット
TSMC進出のデメリットは、以下のようなものがあります。
3-2-1 地価の高騰
TSMC進出によって、工業地、住宅地、商業地の地価が高騰しました。これは、土地を購入したい人や借りたい人にとっては負担が増えることを意味します。特に住宅地では、住宅ローンや家賃が高くなり予想があります。それによって、住宅取得が困難になる可能性があります。また、土地供給が不足することで開発競争が激化し、環境問題や景観問題なども発生する恐れがあります。
3-2-2 人口流入の影響
TSMC進出によって、熊本県内に多くの人口が流入することが予想されます。これは、熊本県の人口減少を食い止めることにはなります。しかし、一方で人口流入に伴う社会的な影響も考慮する必要があります。例えば、教育や医療などの公共サービスの需要が増えることで、インフラの整備や財政の負担が増える可能性があります。
また、TSMC従業員やその家族の多くが台湾から来ると見られています。そのため、言語や文化の違いによるコミュニケーションの障壁や摩擦も発生する可能性があります。
3-2-3 経済依存のリスク
TSMC進出によって、熊本県の経済は大きな恩恵を受けます。しかし、同時にTSMCに依存するリスクも高まります。TSMCは半導体業界のリーダーであり、安定した経営基盤を持っています。ですが、半導体市場は変動が激しいものです。TSMCの業績や戦略によっては、生産量や雇用数が減少する可能性もあります。また、TSMCと台湾との関係にも注目が必要です。台湾は中国との対立が深刻化しています。そのため、政治的な緊張や紛争が発生する可能性もあります。その場合、TSMCの日本進出にも影響が及ぶ可能性があります。
4. TSMC進出の今後の展望
TSMC進出によって、熊本県の不動産分野は大きな変化を迎えています。今後は、TSMC進出によるメリットを最大限に活かしながら、デメリットを最小限に抑えることが重要です。そのためには、以下のような取り組みが必要です。
- 土地供給の確保
TSMC進出による土地需要に対応するためには、土地供給を確保することが必要です。そのためには、空き地や農地などの有効活用や再開発を促進すること。市街化調整区域などの開発制限を見直すこと。などが考えられます。 - 住宅政策の充実
TSMC進出による住宅需要に対応するためには、住宅政策を充実させることが必要です。
そのためには、住宅ローンや家賃の支援制度や補助金制度を拡充することや、公営住宅や社宅などの供給を増やすことなどが考えられます。 - 公共サービスの強化
TSMC進出による人口流入に対応するためには、公共サービスを強化することが必要です。
そのためには、教育や医療などのインフラ整備や人材確保を行うことや、日本語教育や生活相談などの外国人支援サービスを提供することなどが考えられます。 - 経済多様化の推進
TSMC進出による経済効果を持続させるためには、経済多様化を推進することが必要です。
そのためには、TSMCや関連企業との連携や協力を深めることや、半導体以外の産業や分野の振興や誘致を行うことなどが考えられます。
まとめ
以上、TSMC進出によって熊本県の不動産分野が激変する理由とはについてお伝えしました。TSMC進出は熊本県にとって大きなチャンスですが、同時に課題も多くあります。熊本県はTSMC進出によるメリットを最大限に活かすことが大事です。その一方、デメリットを最小限に抑えることができるよう、様々な取り組みを行っています。TSMC進出によって熊本県の経済や社会がどのように変化していくのか、今後も注目していきたいと思います。
