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東京をはじめとする都市部で、不動産価格が高騰しています。特にマンションの平均価格は、バブル期を超えて過去最高を更新しています。一体何が起きているのでしょうか。
この記事では、東京の不動産バブルの実態と原因、そして今後の見通しと対策について、4つのポイントに分けて解説します。最後までお読みいただければ、不動産バブルに関する疑問が解消されるはずです。
それでは早速見ていきましょう。
目次
1. 東京の不動産バブルの実態
まずは、東京の不動産バブルの実態について見ていきます。ここでは、地価とマンション価格の推移をもとに、どれだけ価格が上昇しているかを確認します。
地価は銀座が国内最高値
国土交通省が毎年発表している地価公示価格によると、商業地の最高値である銀座は、2020年(令2)4丁目交差点付近で、1坪あたり1.9億円となっています。これは、1992年(平4)数寄屋橋交差点付近で記録した1.2億円を大きく上回っています。
不動産業者の中では、現在では2億円を超えるのではないかと言われています。場所の違いを考慮しても、現在の価格はバブル期の価格を超えていると判断されます。
マンション価格は新築・中古ともに過去最高
次にマンション価格について見ていきます。新築マンションの平均価格は、2021年(令3)10月首都圏で発売されたものが、1戸当たり6,750万円となりました[^2^][2]。これは、バブル期の1990年(平2)を超えて過去最高です。
東京23区ではさらに高く、8,455万円となっています。ちなみに、首都圏での底値は2002年(平14)で4,003万円です。
中古マンションも同様に高騰しています。2021年(令3)10月首都圏の70m 2 換算価格は4,360万円でした。東京23区では6,465万円です。首都圏での底値は2013(平25)で2,763万円です。
以上から、東京の地価とマンション価格はどちらもバブル期を上回る水準に達しています。では、なぜこのような高騰が起きているのでしょうか。次のポイントで原因を探っていきます。
2. 東京の不動産バブルの原因
東京の不動産バブルには、さまざまな要因が絡んでいます。ここでは主要な4つを紹介します。
新型コロナ
新型コロナウイルス感染症の拡大により、多くの人にとって外出や移動が制限されました。それによって、自宅で過ごす時間が増えました。その結果、「住み心地」や「居住環境」への関心が高まりました。
特にテレワークやオンライン学習などが普及しました。それによって、「仕事場」や「学習場」としても使える広さや設備が必要になりました。また、「買物」や「医療」など生活に必要なサービスへのアクセスも重視されました。
これらの要素から、都心部や駅近くなど利便性が高く快適性が高いマンションへの需要が増加しました。特に東京23区では人気が集中しました。
パワーカップル
パワーカップルとは、共働きで世帯収入が高い夫婦のことです。増加傾向にありますが、その一方で子どもを持たない夫婦も増えています。
パワーカップルは子どもを持たない分、自分たち自身や趣味などにお金を使う傾向があります。その中でも住まいへの投資意欲が高く、購入力もあります。
また、日銀の大規模な金融緩和政策によって超低金利環境が続く中、住宅ローンを組みやすくなりました。これもマンション購入への後押しとなりました。
人手不足
建設業界では人手不足が深刻化しています。少子高齢化や若者層から建設業への就職意欲低下などが原因です。人手不足により人件費や工期延長リスクが上昇しました。
これらは建設コストや供給量に影響します。建設コストが上昇すればマンション価格も上昇します。もちろん、供給量が減少すれば需要と供給のバランスが崩れます。
建築資材・土地
建築資材や土地もマンション価格に影響します。海外から輸入するものも多くあります。それに海外経済の正常化や円安などに伴って値上がりしています。
土地は限られた資源ですから、需要が増えれば自然と価格も上昇します。特に都心部では用途制限や景観条例などもあります。ですから、建設用地を確保すること自体が困難です。
3. 東京の不動産バブルの見通し
次に、東京の不動産バブルの今後の見通しについて見ていきます。ここでは、バブル崩壊の可能性や影響、そして対策について考えます。
バブル崩壊の可能性は?
東京の不動産バブルはいつまで続くのでしょうか。バブル崩壊の可能性はあるのでしょうか。これには、明確な答えはありませんが、いくつかの要因を考慮する必要があります。
一つは、新型コロナウイルス感染症の収束です。ワクチン接種や治療薬の普及によって、感染症が終息に向かえば、外出や移動が自由になります。その結果、「住み心地」や「居住環境」への関心が低下都心部への需要が減少する可能性があります。
もう一つは、金利の上昇です。日銀は現在、金融緩和政策を続けています。ですが、インフレ圧力や国債残高などを考慮すれば、永遠に続けられるわけではありません。金利が上昇すれば、住宅ローンの負担も増えます。その結果、「購入力」や「投資意欲」が低下。マンション価格に圧力がかかる可能性があります。
これらの要因は、東京の不動産バブルを崩壊させる可能性を示唆しています。ですが、それだけでは不十分です。バブル崩壊には、「供給過剰」と「需要急減」が必要です。しかし現在の東京では、供給量は減少傾向にあります。それに、需要も高収入層や外国人投資家などに支えられています。
したがって、東京の不動産バブルはすぐに崩壊するとは考えにくいです。ですが、価格上昇も限界に近づいていると言えるでしょう。
バブル崩壊の影響は?
もし東京の不動産バブルが崩壊したら、どんな影響があるでしょうか。ここでは、個人と企業に分けて考えます。
個人にとっては、マンション価格が下落すれば、「資産価値」や「信用力」が低下します。特にローンを組んで購入した場合は、「負債」よりも「資産」が少なくなる恐れがあります。これを「逆ザヤ」と呼びます。
逆ザヤに陥れば、「返済能力」や「再販能力」が低下します。返済能力が低下すれば、「デフォルト(債務不履行)」や「差し押さえ」のリスクが高まります。再販能力が低下すれば、「転勤」や「引っ越し」などのライフイベントに対応できなくなります。
企業にとっては、マンション価格が下落すれば、「収益性」や「競争力」が低下します。特に開発や販売を行っている不動産会社は、「在庫処分」や「値引き交渉」などで利益を圧迫されます。
収益性や競争力が低下すれば、「倒産」や「撤退」のリスクが高まります。倒産や撤退すれば、「雇用」や「税収」など経済活動全体に悪影響を及ぼします。
以上からわかるように、東京の不動産バブル崩壊は個人と企業にとって深刻な影響を与える可能性があります。では、どうすればバブル崩壊を防ぐことができるでしょうか。次のポイントで対策を紹介します。
4. 東京の不動産バブル対策
最後に、東京の不動産バブル対策について見ていきます。ここでは、個人と企業・政府に分けて考えます。
個人
個人にとっては、マンション購入時に以下の点に注意することが重要です。
- 自己資金率:
自己資金率とは自己資金(頭金)を物件価格で割ったものです。自己資金率が高ければ高いほどローン返済負担は軽くなります。そして、逆ザヤリスクも低くなります。一般的には20%以上を目安とされています。 - 返済期間:
返済期間とはローンを完済するまでの期間です。返済期間が長ければ長いほど利息負担は重くなります。もちろん、価格変動リスクも高くなります。一般的には35年以内を目安とされています。 - 返済比率:
返済比率とは月々のローン返済額を月々高ければ高いほど生活費や貯蓄が圧迫されます。でも、それだと収入減少や失業などのリスクに対応できなくなります。一般的には25%以下を目安とされています。
これらの点を考慮して、自分の収入や支出、将来の見通しに合わせて、無理のない購入計画を立てることが大切です。
また、購入後も価格変動に一喜一憂せず。長期的な視点で資産管理をすることが重要です。
企業・政府
企業や政府にとっては、マンション供給時に以下の点に注意することが重要です。
- 需要予測:
需要予測とは将来のマンション需要を見積もることです。需要予測が過大になれば供給過剰になります。そして、需要予測が過小になれば供給不足になります。どちらも価格変動や市場混乱の原因になります。したがって、需要予測は正確かつ慎重に行う必要があります。 - 価格設定:
価格設定とはマンションの販売価格を決めることです。価格設定が適正でなければ、販売不振や値下げ交渉などで利益が減少します。それに、市場価格に影響を与えます。したがって、価格設定は市場動向や競合分析などをもとに行う必要があります。 - 住宅政策:
住宅政策とは住宅市場に関する政府の施策です。住宅政策は、住宅供給量や住宅購入支援などでマンション需要に影響します。したがって、住宅政策は市場のニーズやバランスを考慮して行う必要があります。
これらの点を考慮して、企業や政府はマンション市場の安定化や活性化に努めることが大切です。また、消費者の利益保護や情報公開なども重要です。
まとめ
今回は、いまさら聞けない東京の不動産バブルについてお話ししました。以下にまとめます。
- 東京の不動産バブルの実態は、地価とマンション価格がバブル期を上回る水準に達していること
- 東京の不動産バブルの原因は、新型コロナ、パワーカップル、人手不足、建築資材・土地の4つの要因
- 東京の不動産バブルの見通しは、バブル崩壊はすぐには起きないが、価格上昇も限界に近づいていること
- 東京の不動産バブル対策は、個人は無理のない購入計画と長期的な資産管理、企業・政府は正確な需要予測と適正な価格設定と有効な住宅政策
東京の不動産バブルは今後も注目されるテーマです。この記事があなたの不動産バブルに関する知識や判断力に役立てば幸いです。