楽天モバイルの赤字拡大は一時的?携帯事業の将来性を決算資料から読み解く

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楽天グループは2023年5月12日に、2023年12月期第1四半期の決算を発表しました。

売上高は前年同期比9.3%増の4756億3500万円でした。しかし、営業損失は761億9400万円と巨額の赤字が続きました。特に携帯事業の損失が重荷となっています。

この記事では、楽天グループの決算資料を解説し、携帯事業の現状と将来について考えてみたいと思います。

1.楽天グループの決算概要

楽天グループは、インターネットサービス事業、フィンテック事業、通信・エネルギー事業などを展開しています。2023年12月期第1四半期の決算は以下の通りです。

  • 売上高:4756億3500万円(前年同期比9.3%増)
  • 営業損失:761億9400万円(前年同期比301億円減)
  • 純損失:663億400万円(前年同期比278億2400万円減)

売上高は、インターネットサービス事業やフィンテック事業が好調だったことで増加しました。しかし、営業損失や純損失は、通信・エネルギー事業の赤字拡大や投資先企業の評価損などによって拡大しました。

2.楽天グループ 携帯事業の現状

通信・エネルギー事業の中でも、特に注目されるのが携帯事業です。2020年4月に開始した楽天モバイルは、低価格やポイント還元で注目を集めました。ですが、実際には契約者数や収益性に苦戦しています。2023年12月期第1四半期の携帯事業の状況は以下の通りです。

  • 売上高:137億5000万円(前年同期比2.8倍)
  • セグメント損失:1007億円(前年同期比300億円減)
  • 累計契約者数:約390万人(前年末比約30万人増)
  • 自社基地局エリア人口カバー率:約60%

売上高は、契約者数やARPU(一人当たり平均収入)の増加によって大幅に伸びました。しかし、セグメント損失は依然として1000億円を超える水準であり、グループ全体の赤字要因となっています。契約者数も、目標としていた2023年3月末時点で500万人に届いておりません。伸び率も鈍化しています。自社基地局エリア人口カバー率も、目標としていた96%に遠く及びませんでした。そのため、KDDIやNTTドコモなど他社回線へのローミング費用がかさみます。

3.楽天グループ 携帯事業の将来

楽天モバイルは、このままでは持続的な成長が難しいと判断し、新たな料金プランやローミング契約を発表しました。2021年6月1日から、「Rakuten最強プラン」という新料金プランを提供します。これは、自社基地局エリア内であれば月額2980円で20GBまで使えるプランであり、他社回線エリアでも追加料金なしで使えるようになります。また、KDDIと新たなローミング契約を結びました。これにより、自社基地局建設コストや設備投資額を削減することができます。

3.1 三木谷浩史会長兼社長が見据える今後とその課題

三木谷浩史会長兼社長は、「今後モバイル事業の損失改善と売り上げ成長を実現することで、目標達成できれば2030年にはフィンテック、インターネット事業を上回る収益が実現できる」という見通しを示しました。しかし、そのためには以下の課題を克服する必要があります。

  • 契約件数やARPUの増加
    • 新料金プランが契約件数やARPUにどれだけ貢献できるかが不透明
    • 他社も低価格プランやポイント還元などで対抗しており、競争力が低下する可能性がある
  • 自社基地局エリアの拡大
    • 自社基地局エリア内であれば利益率が高くなるため、早急に拡大する必要がある
    • KDDIとのローミング契約は一時的な救済策であり、長期的には自社基地局エリアへ移行する必要がある
  • 投資回収期間の見通し
    • 楽天モバイルはこれまでに累計2兆円以上の投資を行っており、その回収期間は不明確
    • 楽天グループ全体のキャッシュフローや財務体質に影響する可能性がある

まとめ

以上からわかるように、楽天グループは経営赤字に陥っており、特に携帯事業が厳しい状況にあります。しかし、新たな料金プランやローミング契約などで改善策を打ち出してます。そこから、将来的には収益源となる可能性もあります。今後も楽天グループの動向や決算に注目していきましょう。

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