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日経平均株価が、バブル崩壊後の高値を更新しました。2024年2月16日の終値は3万8670円で、1989年12月の史上最高値にあと245円と迫りました。この日は、アメリカの株高を受けて買い注文が膨らみ、一時は700円以上値上がりして3万8800円台をつけました。これは、取引時間中としてはおよそ34年ぶりの高値です。
なぜ、日経平均株価がここまで上昇したのでしょうか。そして、今後の展開はどうなるのでしょうか。この記事では、日経平均株価のバブル超えについて、その背景と見通しを分析します。
目次
1.日経平均株価がバブル期に近い理由
日経平均株価がバブル期に近い水準に達したのには、いくつかの理由があります。
まず、海外の株式市場が好調であることが大きな要因です。特に、アメリカのダウ工業株30種平均やナスダック総合指数が、新型コロナウイルスのワクチン接種の進展やバイデン政権の景気刺激策の期待で、史上最高値を更新しています。
これに連動して、日本の株式市場にも海外からの資金が流入しています。特に、グローバルマクロ系のヘッジファンドや年金基金など、中長期の運用を行う投資家が日本株に参入しているといわれています。
次に、日本の企業の業績が改善していることも株高を支えています。2024年3月期の企業の4~9月期決算は、新型コロナウイルスの影響で減収減益が多かったものの、市場の予想を上回る好調な内容が目立ちました。
特に、半導体や自動車などの製造業や、インターネットやゲームなどの情報通信業が牽引しました。また、企業の収益力の向上や株主還元の拡充など、企業統治の改革に対する期待感も高まっています。
2.日経平均株価はバブルを超えるときが来るのか
日経平均株価がバブル期の最高値を超えるときが来るのかどうかは、今後の経済情勢や市場の動向によって変わってきます。しかし、現時点での見方としては、バブルを超える可能性は高いと考えられます。その理由は、以下の通りです。
まず、日経平均株価のバブル期の最高値は、株価の基礎的な評価指標であるPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)で見ると、現在の水準よりもはるかに高かったことです。1989年12月の日経平均株価のPERは約70倍、PBRは約6倍でしたが、2024年2月16日の日経平均株価のPERは約20倍、PBRは約1.5倍です。 つまり、バブル期の株価は過大評価されていたのに対し、現在の株価は適正評価されているか、むしろ割安であるといえます。
次に、日本経済の回復が続くと見込まれることです。新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が解除されれば、消費やサービス業などの需要が回復すると期待されます。また、政府や日銀の金融・財政政策の下支えも続くとみられます。さらに、海外経済の回復も日本経済にとってプラスに働きます。
3.日経平均株価がバブル期に近いことでのメリット・デメリット
日経平均株価がバブル期に近い水準になったことで、メリットとデメリットが生じます。メリットとしては、以下のような点が挙げられます。
- 株式市場の活性化により、資金調達やM&A(合併・買収)などの企業活動が促進される。
- 株高による資産効果や景気感の改善により、消費や投資などの内需が拡大する。
- 株高に伴う円安により、輸出産業の競争力が高まる。
一方で、デメリットとしては、以下のような点が考えられます。
- 株高が過熱し、バブル崩壊のリスクが高まる。
- 株高に伴う円安により、輸入品の価格が上昇し、インフレ圧力が強まる。
- 株高による所得格差や世代間格差が拡大する。
4.日経平均によってどのような影響を与えるのか
日経平均株価がバブル期に近い水準になったことは、日本経済にとって全体としてはプラスの影響を与えると考えられます。しかし、その影響は均等ではなく、業種や企業、個人によって異なります。また、日経の株価の動きには不確実性があり、今後の展開によっては、マイナスの影響も出てくる可能性があります。
具体的には、以下のような影響が考えられます。
- 株式市場の活性化により、上場企業や投資家は資金調達や資産運用の機会が増えます。特に、新興企業やベンチャー企業は、IPO(新規株式公開)やM&A(合併・買収)などの成長戦略を実行しやすくなります。また、株主還元の拡充や株式分割などの施策により、個人投資家の参加も促されます。
- 株高による資産効果や景気感の改善により、消費や投資などの内需が拡大します。特に、高級品や不動産などの購入や、旅行やレジャーなどのサービス消費が増えると見込まれます。また、企業の設備投資や研究開発投資も増加する可能性があります。
- 株高に伴う円安により、輸出産業の競争力が高まります。特に、自動車や電機などの製造業や、医薬品や化学品などの素材産業が恩恵を受けます。また、海外の需要が回復すれば、輸出の増加につながります。
まとめ
日経平均株価がバブル期に近い水準に達したことは、日本経済にとって大きなチャンスです。海外の株高や日本の企業の業績改善などが株高の背景にあります。
また、株価の基礎的な評価指標から見ても、現在の株価は適正か割安であり、バブルを超える可能性は高いと考えられます。しかし、株高にはリスクも伴います。株価の過熱や円安によるインフレ圧力などに注意が必要です。
また、株高による所得格差や世代間格差などの社会問題も解決する必要があります。日経の平均株価がバブル超えるのは、日本経済の再生の契機となるでしょう。