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新規公開株(IPO)とは、株式市場に初めて上場する企業の株式のことです。新規公開株(IPO)は、一般的に成長性の高い企業が多く、高い収益性や将来性を期待できる投資商品として人気があります。
しかし、新規公開株(IPO)にはリスクも伴います。例えば、上場後の業績や株価の変動によって、損失を被る可能性があります。また、新規公開株(IPO)には需要と供給のバランスや市場環境などに影響されやすい特徴もあります。そのため、新規公開株(IPO)に投資する際には、十分な情報収集と分析が必要です。
この記事では、2023年上半期の新規公開株(IPO)市場の動向を振り返りながら、下半期の見通しも分析していきます。以下の4つのポイントに注目してください。
目次
1. 新規公開株(IPO)の上場数は増加傾向に
規公開株(IPO)の上場数は、2023年上半期で前年同期の21社から40社に増加しました。これは、2019年上半期の43社に次ぐ高水準です。上場した銘柄のうち、東証マザーズに上場したのは23社で最多でした。また、東証グロース市場(旧JASDAQ)には9社、東証一部には5社が上場しました。業種別では、情報・通信業が14社で最多でした。その他にも、医療・ヘルスケア業やサービス業など、コロナ禍で需要が高まった分野の企業が多く上場しました。
2. 新規公開株(IPO)の初値は高騰傾向に
新規公開株(IPO)の初値は、2023年上半期平均で公開価格の約2.7倍となりました。これは、2019年上半期の約2.6倍をわずかに上回る水準です。初値が最も高かったのは、オンライン英会話サービスを提供するレアジョブ(6096)です。公開価格の約10.4倍となる2,000円でした。その他にも、VTuberプロダクションを運営するカバー(5253)や、オンライン教育サービスを展開するスタディプラス(3998)など、コロナ禍で注目された企業が高い初値をつけました。
3. 新規公開株(IPO)の需給バランスは改善傾向に
新規公開株(IPO)では、2023年上半期では需給バランスが改善する傾向が見られました。需給バランスを示す指標としてよく使われる「ブックビルディング倍率」は、平均で約71.7倍となりました。これは、前年同期の約97.4倍よりも低下しました。ブックビルディング倍率が低下した理由としては、以下の2つが考えられます。
- 新規公開株(IPO)の上場数が増加
上場数が増えると、投資家の資金が分散されます。そのため、一つの銘柄に対する需要が減少する可能性があります。 - 新規公開株(IPO)の公開価格の適正化
公開価格は、主幹事証券会社が投資家の需要や市場環境を考慮して決定します。2023年上半期の新規公開株(IPO)では、公開価格が適正に設定されたケースが多く見られました。公開価格が適正に設定されると、投資家の需要と供給がバランスよくなります。そのため、ブックビルディング倍率が低下する可能性があります。
4. 新規公開株(IPO)の下半期の見通しは慎重に
新規公開株(IPO)の2023年下半期市場は、上半期に引き続き活発な動きが期待されます。すでに、東証マザーズに上場予定のベイカレント・コンサルティング(6532)や、東証一部に上場予定のミクシィ(2121)など、注目度の高い銘柄が多数登場しています。また、東証グロース市場には、新規上場予定の銘柄が約30社も控えており、成長性の高い企業を発掘するチャンスもあります。
一方で、下半期には不透明な要因も多く存在します。例えば、米国ではインフレ圧力の高まりや金融政策の変化などが懸念されております。日本でも消費税率の引き上げや総選挙などが予想されています。また、中国では規制強化や経済減速などが問題視されております。新型コロナウイルスの変異株の拡大も警戒されています。これらの要因は、新規公開株(IPO)市場にも影響を与える可能性があります。
まとめ
新規公開株(IPO)の2023年上半期は、新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、経済活動が徐々に回復する中。新規公開株(IPO)市場も活況を呈しました。上場数や初値などは高水準で推移しました。また、需給バランスも改善する傾向が見られました。2023年下半期も新規公開株(IPO)市場は活発な動きが期待されますが、米国や中国などの海外情勢や国内政治などの不透明な要因も多く存在します。そのため、投資判断を行う際には慎重に情報収集を行うことが重要です。