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投資を始めた方なら、おそらく一度は聞いたことがあるはずのiDeCo。この言葉について、どう向き会ったらよいか考えたことはありますか。
言葉だけが先走っていて、まだまだ黎明期にあるiDeCoですが、それもそのはず。2020年10月の統計で、iDeCo加入率はなんとまだ2.6%に過ぎません。
なーんだ。全然流行ってないね。やる価値ないね。iDeCoそのものがなくなるかもしれないくらいの数字じゃん。
と思われる方もいるも知れませんね。ですが、iDeCoそのものの仕組みを知っている人はほとんどいない、というのもまた事実です。
iDeCoのことを知って、理解した上で利用しない、という判断に踏み切っている人など、対象者の1%もいないのではないでしょうか。
今回はこのiDeCoについて概要を説明し、利用をオススメできる人を3つのタイプに絞ってご紹介します。
長くなってしまいましたので、記事を切り分けながら説明していきます。iDeCoシリーズとして積み重ねて読んでみてください。
目次
iDeCoの概要について
【概要1】投資ではなく年金である
iDeCoは、簡単に言うと、個人で作り上げていく年金のことです。だから目的としては、65歳以降の生活資金をしっかりと準備するために使う制度となりす。
ですので、今すぐにお金を増やしたい、とか、1年以内に資産を大きくして、使いたい。または、老後のために準備するお金など1円もない。といった方には意味のない制度です。
数年以内に大金持ちになる算段ができていて、数円すらも将来のために使いたくない、という人は、iDeCoをやる意味がほぼありません。ここらで読むのをやめた方がよいでしょう。
一般に年金というのは、歳をとってしまって、肉体的・精神的に働けなくなった人の生活を、金銭的にサポートするという社会保障を目的とした制度です。主に高齢の方々の人生が詰まないような仕組みになっています。
もちろん、日本には国民年金や厚生年金など、給料をもらうようになったら強制的に加入させられる年金があります。
この日本の年金制度はなかなか良くできていて、かつてはこれだけで必要最低限の生活を賄えるくらいの金額が出ていました。
定年まで働いて、退職したら退職金とこの年金を足し合わせ、これを取り崩しながら余生を送る。というのがお決まりでした。
ただ、毎年の年金支払額の増加、そして年金支給年齢の引き上げ、年金額の減少など、実際の支払い額や受給額は、加入者である国民生活を圧迫するばかり。
人口減少や消える年金事件、老後2,000万円問題など、この年金を取り巻くさまざまな事件が起き、運営そのものの確かさに対する安定感は失われつつあります。
【概要2】単なる貯金ではなく、投資を組み合わせて作る年金
こうした中、貯金から投資へ、とスローガンを掲げたかつての安倍政権は、国が展開する国民年金や厚生年金のほかに、自分で投資商品を運用できる年金制度をつくりました。
これがiDeCoです。この仕組みをうまく使うことにより、国が運営する国民年金や厚生年金がもしも先細ったとしても、自分でしっかりと老後年金を準備出来るように制度が設計されています。
iDeCoは、銀行や証券会社などでまずiDeCo口座をつくります。この口座という箱のなかに金融商品を組み合わせて詰め合わせ、運用しながら資産を育てていくという仕組みになっています。
つまり、投資と年金が組み合わさっているのです。今の時代、銀行預金を積み重ねるだけでは、いくら長く寝かせても、老後資金を潤沢に用意することはできません。
ですがその代わり、手堅い投資を長年行えばそれなりの資産は作れる、という実績はたくさんデータが積み上がっています。
このため、政府は「天引き」「強制貯金」「長期投資」といった、蓄財に必要な要素をiDeCoを使って組み合わせることで、かつての年金と同じような状態を国民に提供しようとしています。
あとは、あなたがこの制度をどのくらい信用するかです。もちろん、必要性がなければ、利用は強制されていません。
こうした概要を踏まえて、iDeCoをオススメする人を3タイプご紹介します。ぜひご自身の将来や貯蓄のタイプを見直して、利用を検討してみてください。
1.貯金が苦手な人、ついついあればあるだけ使ってしまう人
1‐1.鬼の強制貯蓄機能でいつのまにかに増やす
まずは財テク、投資や副業、事業開業、そして家計管理などにまったく興味がない人です。また、貯金する気はあっても、上手く貯金できないという人です。
僕もよくありますが、定期的に貯金口座にお金を入れられない人、せっかく貯めた口座からすぐに引き出してしまう、なんていう人はけっこういるのではないでしょうか。
iDeCoは毎月1回、自分が決めた一定額を引き落としてくれるようになっています。(上限は68,000円。)
給料日の直後に引き落とすようにセットすれば、天引きと同じように毎月一定額が引き落とされますので、積み立てていることを忘れやすく出来ます。
iDeCoに事業所登録している企業なら、天引き制度もあります。天引きは税金や年金と同じように、手取りになる前に引き落とされるので、会社員最強の貯金法と呼ばれています。
しかも一度iDeCo口座に入金されると、65歳の受給開始年齢になるまで、引き出すことはできないという、強力な資金拘束制度があります。
つまり、iDeCo口座のお金は、給料から天引きされる上に、65歳になるまで触れられなくなるのです。鬼の強制貯蓄機能と言えるでしょう。
1‐2.財形貯蓄に投資をプラス
しかし、ここまでであれば、財形貯蓄とそう大きくは変わりません。ですが、iDeCo口座には、あらかじめ自分が選んでおいた投資商品がセットされています。
そして、これまたあらかじめ自分で決めた配分率に従って、毎月引き落とされた資金が、投信や債権などに自動投下されていくのです。
あらかじめ選んだ投資商品とはいっても、iDeCo口座に組み入れできる投資商品は、金融庁お墨付きの、実績のあるたしかな投資商品しかありません。
それも、10年単位で2〜5%前後の、手堅い実績を出し続けているものだけです。代表的なものと言えば、日本債権、米国債権、保険、インデックス型の投資信託などです。
過去に紹介したオルカンやs&p500などは、優良なインデックス型の投資信託としてこの中に含まれています。
つまり、強制的に天引きしたあと、引き出すこともできないあなたの資金は、いくつかの投資商品に資金を自動投下することになります。本人がやることはほとんどありません。 ほぼほったらかしで手堅く投資しているようなものです。これによって年利回り2〜5%を狙う投資を優良ファンドや優良債権などの詰め合わせパックを運用する。というわけです。
1‐3.積み立て保険を投資代わりに使うな
よく、似たような形で積立型の保険で貯蓄している、という方もいますね。積立型保険も、天引きしたあと投資商品に資金投下されて運用されます。
ですがこの投資商品がぼったくり商品であることが多く、ほとんどの保険が高い運用益を生み出していません。またぼったくり投資商品は、手数料が高いです。
保険会社はこれらを全て飲み込んだ上で商品を運用するため、たまに元本が割れてしまうことすらあります。数年後、手元に残ったお金は貯金以下か、貯金とほぼ同じになってしまうのです。
ずばりと言うなら、積立式の生命保険は、お金が増えない。これがデメリットです。
もし貯金が上手くなくて、老後にお金を残したいなら、積立型の生命保険よりはiDeCoをやった方が、リターンは大きくなります。
さて今回はここまでです。次回をお楽しみに。