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前回お話を開始したiDeCoシリーズです。今回はその続きをお話ししていきます。
目次
2.会社員、公務員でも節税したいという人
iDeCoはその全てが控除の対象になる。というのも、大きな魅力の一つです。
税金というのは、額面の収入から、経費と控除を引いた、所得というものに対し、税率を掛けて計算します。
経費と控除については、別に一本記事にしたいと思いますが、この二つが少ないと、ほぼ収入と所得の額が一緒になってしまい、税金が高くなってしまう、といまはご理解ください。
つまり、もし上限いっぱいの68,000円を毎月iDeCoに資金投下した場合、年間で816,000円の所得が控除されます。
もし給与所得500万円の人なら、414万の所得として計算されるというわけです。給与所得控除と併せ、およそ360万円から税金の計算がスタートすることになります。
会社員や公務員は、経営者や個人事業主と違い、経費がありませんので、控除を増やすしか、節税の方法がありません。
iDeCoはその控除を増やす、数少ない支出項目なのです。
最終的に引き出す時には多少の税金がかかってしまいますが、貯めている時は控除されます。
つまり65歳の引き出しを迎えるまで、毎月の手取りが多くなりますので、その分生活を豊かにすることができますね。
また、増えた手取りをさらに貯金や投資に回すと、さらにお金は増えていくことになります。
貯金感覚で投資にもなって、しかも節税される、これがiDeCoの利点のです。
自分で預金を増やしたり投資信託を買ったり、当たるかもわからないFXや不動産に資金を投げ込むよりは、大分手堅く資産を増やすことができます。
もし老後の資金をしっかりと準備したいのならば、iDeCoは比較的有効な手段と言えるのではないでしょうか。
3.老後2,000万円問題を解決したい人
3‐1.老後に対する漠然とした不安について
年金が先細り、これからの老後にはだいたい2,000万円くらいの資金がないと厳しい。というニュースが流れてから、数年が経ちます。
若い人の間では、年金は全く当てにならないから、自分たちでたくさん貯金をしたい。と思う堅実派もずいぶんと増えました。
とはいえ、すでに今の手取りでも厳しいのに、どうやってそんな資金を貯めたらいいのか。と途方に暮れている方もいるでしょう。
なにか特別な投資先に、多額の資金を注ぎ込まなければいけない、と焦ってしまいがちです。
事実僕もそう思っていました。僕は自分の老後には年金は1円ももらえなくなるくらいに考えていたくらいです。30代の頃は、年金を払わずに、そのお金を、自分で運用した方がよいぐらいに考えていました。
さすがにこれは大きな認識の間違いでした。年金よりも前に自分の家計と年金に対する考え方が破綻していたわけです。
3‐2.年金そのものは破綻しない
そもそも、老後2,000万円問題をどう捉えているかが問題です。もちろん、年金が1円ももらえなくなるわけではありません。
老後2,000万円問題は、現状の老後夫婦の平均支出が年金の収入を上回っているところから始まっています。老後を30年と仮定した場合に、年金の他に追加でこのくらいが必要、と金融庁が試算した平均値が2,000万円というわけです。
つまり、年金が破綻するわけではありませんので、仮に先細ることはあるとしても、老後年金が0になるわけではありません。また、家計を見直し、必要な月収を確保しておけば、2,000万円も足りなくなることはないのです。
3‐3.時間を味方につけて、焦らず準備しよう
となれば、いまから家計を見直して倹約し、65歳以降も収入が得られる収入口を少しでも作っておけば良いということになります。
たとえば節約と副業で月に3万を捻り出し、iDeCoに投入し、5%で運用を続ける。こうすると利息に利息がつきますので、25年で1800万を越えてきます。
このほかに国民年金、厚生年金といった政府の公的な年金もありますので、割と十分な蓄えになるでしょう。
無理しない程度に、きちんと貯金しようと思うレベルでも、十分に老後資金は積み上がっていきます。
iDeCoには数十年にわたって年利5〜10%程度の利回りを出し続けてきた、実績のある投資商品だけが金融庁によって厳選されています。
特段の手段なく、貯金や保険で老後に備えていくのであれば、それよりもだいぶ有効な手段になりうるのがiDeCoというわけです。
4.iDeCoのデメリット
今までのような内容から、テレビや新聞、ネットでも有効性が語られつつあるiDeCoですが、もちろんデメリットもあります。
4‐1.デメリット1 資金拘束
その一つが資金拘束です。iDeCoはいったん資金投下を開始したら、65歳を迎えるか、本人がなくなりでもしない限り引き出すことはできません。
そこは、すぐに引き出して無駄遣いしてしまう人にとってはメリットですが、途中本当に困ったことがあったときにも引き出せません。そういった万が一を懸念する人にとってはデメリットになってしまいます。
iDeCoを始めたら、投下した資金は長期に渡り手をつけられないことを覚悟しましょう。
4‐2.デメリット2 引き出し時に課税される
また、引き出し時の税金も一つのデメリットです。資金投下中は控除される分、65歳が過ぎて引き出す段階に入ったときには、税金がかかります。
税金を数十年先送りしているのと同じようなことですね。対策としては、控除されて税金が浮く分、すこしでもその分を取っておくか、さらに運用して増やしておくことです。
4‐3.デメリット3 為替リスク
また、iDeCo投資先自体の元本割れや為替リスクもあります。iDeCoの商品の中にs&p500や全世界株式を組み込んだ場合、米国経済が破綻すれば当然予想している利回りは得られませんし、異常な円高となれば、元本割れという事態もあり得ます。
iDeCoのお金を引き出すことはできませんが、組込む商品は適宜変更できるので、ここは世界の情勢に合わせて入れ替えしていくのが対策です。
ゆっくりとですが、完全にほったらかさず、たま〜にiDeCoの投資商品をメンテナンスする、ということですね。これであなたも投資家というわけです。貯蓄から投資と政府が言うのは、こういった部分にあります。
このようにデメリットもありますが、対策がないわけではありません。自分のライフスタイルに合わせて、iDeCoを使うか使わないか、またはどう利用していくのか、を、検討する材料にしていただければ幸いです。
5.iDeCoをどう利用するかを考えてみよう
ここまで、iDeCoの概要と、おススメする3つの貯蓄タイプ、デメリットについて説明しました
iDeCo自体はあくまで老後の資金を準備するためのツールに過ぎません。ですから、必ずやらなければならないものでもありません。
もし、あなたが老後にしっかりと資金を準備したいのなら、有効な選択肢として考え、上手に利用していくべき制度だということです。
老後のためにお金を残すことはたしかに大切ですが、そのために今を生きるための資金がなくなってしまっては何の意味もありません。
現在使えるお金を残しつつ、老後という未来にもお金をコツコツと送り込む。このバランスが重要です。
若いうちはエネルギーに溢れ、いろいろなことができますが、お金はないものです。
もし収入が低い若い時から、iDeCoのMAX金額を毎月積立続けるとすれば、毎月68,000円ものお金がなくなってしまいます。
それは、もしあなたの時給が1,000円なら、毎月64時間分もの労働と利益を、10年以上先の将来に送ってしまうことを意味します。これはあまりにバランスが悪すぎますね。
また、長い人生では、収入が増えるかもしれません。先細りすることばかり考えて、現時点の人生を楽しまなかったり、自己投資することをおろそかにしてはなりません。
自己投資の結果、事業で爆益が出れば、ちまちまと貯蓄する必要すらなくなるかもしれませんよ。
まとめ iDeCo利用の目的を踏まえながら、利用価値を高めよう
ここまでの話をまとめると
●iDeCoの概要について説明し、利用をおススメできる3つの貯蓄タイプを紹介しました
●貯蓄タイプについては
1.貯金が苦手な人、ついついあればあるだけ使ってしまう人
2.会社員、公務員でも節税したいという人
3.老後2,000万円問題を解決したい人
でした。
●デメリットについて説明しました。
●上記を踏まえて結局どう利用するかにいて、ベースの考え方を紹介しました。
となります。
いまから50年くらい前、高度成長期の人々は、一生懸命働いて、少し遊び、節約して銀行預金に貯金していました。こうすれば、銀行が年7%くらいの金利で増やしてくれたからです。
現代の経済情勢では、同じテンプレートは通用しませんが、やり方次第で政府もそれなりにうまく行くように制度を設計してくれています。
一つの会社で一生懸命。ではなく、複数の収入口を一生懸命つくる。余暇も楽しみつつ節約する。銀行ではなくiDeCoや積立NISAに資金を投下する。少しスタイルは違いますが、やっていることはほぼ同じです。
こうすることで、高度経済成長期に勝るとも劣らない老後資金をつくることが可能だというわけです。
あとは仕組みを理解して、うまく利用できるか。これは現役世代の考え方にかかっています。
今できる貯蓄のうち、どのくらいなら未来に取っておけるのか。自分の収入や支出をきちんと踏まえた上で、バランスの良い資金量を投下する。
こんな蓄財スタイルの中に、iDeCoをうまく活用できたら、明るい老後が描けると思います。ぜひツールを理解して、かしこく活用してみてくださいね。