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コロナ禍が明け、観光や飲食業界に人が戻ってきました。
しかし、その反動で話題になっているのが「人手不足」問題です。
時給を上げても人は集まらない。なぜ、こういった状態になっているのでしょうか?この記事では、観光・飲食業の人手不足の原因と解決策を考えてみます。
目次
1.人手不足の原因はコロナ禍だけではない
観光・飲食業の人手不足は、コロナ禍で一時的に離れた働き手が戻ってこないことが大きな要因です。しかし、それだけではありません。実は、コロナ禍以前から、観光・飲食業は人手不足に悩まされていました。その背景には、以下のような要因があります。
- 休日・休暇の少なさや賃金水準の低さなど、労働環境の厳しさ
- 非正規雇用の多さやキャリアパスの不明確さなど、雇用の不安定さ
- 労働者の高齢化や人口減少など、社会構造の変化
これらの要因は、コロナ禍が終息しても解決されるものではありません。むしろ、コロナ禍が加速させたデジタル化やライフスタイルの多様化などによって、観光・飲食業の競争力や魅力が低下する可能性もあります。観光・飲食業は、人手不足を克服するためには、根本的な改革が必要です。
2.人手不足を解決するためには時給だけではない
人手不足を解決するためには、時給を上げることが必要でしょうか?答えは「必要だが、十分ではない」ということです。時給を上げることは、働き手を集めるための一つの手段ですが、それだけでは長期的な雇用確保には不十分です。なぜなら、時給だけで働き手を選ぶのではなく、他の要素も重視する傾向が強まっているからです。例えば、以下のような要素です。
- 働きがいややりがいを感じられるかどうか
- スキルやキャリアを向上させられるかどうか
- ワークライフバランスを保てるかどうか
- 企業や業界の将来性や社会貢献性が高いかどうか
これらの要素は、時給と同じくらい、あるいはそれ以上に働き手の満足度や忠誠度に影響します。観光・飲食業は、時給だけでなく、これらの要素も充実させることで、人手不足を解決することができます。
3.人手不足を解決するための具体的な対策は何か
観光・飲食業が人手不足を解決するためには、どのような具体的な対策が必要でしょうか?ここでは、以下の4つの対策を紹介します。
- デジタル化・DXによる労働生産性の向上
- 雇用の安定化や多様化による働き手の確保
- 地域一体となった人材育成や共有による人手不足の緩和
- 国や地方自治体の支援や制度活用による人手不足の解消
3-1 デジタル化・DXによる労働生産性の向上
デジタル化・DXとは、デジタル技術を活用して業務やサービスを改善・革新することです。観光・飲食業では、以下のようなデジタル化・DXの事例があります。
- オンライン予約や決済、自動チェックインなどによる接客業務の効率化
- AIやロボット、IoTなどによる調理や清掃などの作業の自動化
- SNSや動画などによる集客や販促の強化
- ビッグデータやクラウドなどによる需要予測や在庫管理の最適化
これらのデジタル化・DXによって、観光・飲食業は、人手不足を解決するだけでなく、サービスの質や付加価値を高めることができます。しかし、デジタル化・DXには、コストやノウハウ、セキュリティなどの課題もあります。観光・飲食業は、これらの課題を克服するために、自社だけでなく、他社や業界団体などと協力して取り組むことが必要です。
3-2 雇用の安定化や多様化による働き手の確保
雇用の安定化や多様化とは、働き手にとって安心して長く働ける環境や選択肢を提供することです。観光・飲食業では、以下のような雇用の安定化や多様化の取り組みがあります。
- 正社員や契約社員などの正規雇用の増加や待遇の改善
- アルバイトやパートなどの非正規雇用の教育や評価の充実
- 中高年や障害者などの多様な人材の採用や活躍
- テレワークやシフト制などの柔軟な働き方の導入
これらの雇用の安定化や多様化によって、観光・飲食業は、人手不足を解決するだけでなく、働き手のモチベーションやスキルを高めることができます。
3-3 地域一体となった人材育成や共有による人手不足の緩和
地域一体となった人材育成や共有とは、観光・飲食業だけでなく、地域全体で人材を育成したり、共有したりすることです。観光・飲食業では、以下のような地域一体となった人材育成や共有の事例があります。
- 観光・飲食業の魅力や仕事内容を紹介するイベントやセミナーの開催
- 観光・飲食業に興味のある学生や若者に対するインターンシップや就職支援の提供
- 観光・飲食業の経営者や従業員のネットワークやコミュニティの形成
- 観光・飲食業の人材を他の業種や地域と交流させるプログラムや制度の創設
これらの地域一体となった人材育成や共有によって、観光・飲食業は、人手不足を解決するだけでなく、地域の活性化やブランディングにも貢献することができます。しかし、地域一体となった人材育成や共有には、関係者間の連携や協力が不可欠です。観光・飲食業は、地域のリーダーやステークホルダーと積極的にコミュニケーションをとり、共通の目標やビジョンを持つことが必要です。
3-4 国や地方自治体の支援や制度活用による人手不足の解消
国や地方自治体の支援や制度活用とは、観光・飲食業に対して、人材確保や育成に関する助成金や補助金、税制優遇などの支援や制度を提供することです。観光・飲食業では、以下のような国や地方自治体の支援や制度活用の事例があります。
- 観光・飲食業におけるDX推進に関する助成金や補助金の交付
- 観光・飲食業における正規雇用化や多様な働き方の導入に関する助成金や補助金の交付
- 観光・飲食業における人材育成やキャリアアップに関する助成金や補助金の交付
- 観光・飲食業における人材交流や共有に関するプログラムや制度の創設
これらの国や地方自治体の支援や制度活用によって、観光・飲食業は、人手不足を解決するだけでなく、経営の安定化や発展にもつなげることができます。しかし、国や地方自治体の支援や制度活用には、申請や報告などの手続きや条件が必要です。観光・飲食業は、自社のニーズや課題に合った支援や制度を選択し、適切に活用することが必要です。
まとめ
観光・飲食業は、コロナ禍が明けても人手不足に悩まされ続けるでしょう。しかし、それは危機だけでなく、チャンスでもあります。
コロナ禍がようやく明け、他より人を集めて一歩リードしたいなら、まずは人件費を利益度外視でしっかりかけることです。
コロナ禍みたいなことが起きないよう貯蓄用に残すことも大事ですが、今この問題を突破していかないとこのチャンスを逃すことになります。働き手のライバルは同業者ではありません。同地区すべての業種なのです。どの業界も人口減少をきっかけに働き手をあの手この手で集めています。まずは、インパクトがある資金投入。時給を一時的でも他より500円以上上げるなどの対策が必要なのではと考えます。「そんなの無理だよ」というのは、逃げです。
観光・飲食業は、時給だけでなく、デジタル化・DXや雇用の安定化・多様化、地域一体となった人材育成・共有、国や地方自治体の支援・制度活用など、様々な対策を講じることで、人手不足を解決することができます。観光・飲食業は、人手不足を克服するためには、根本的な改革が必要です。この機会を働き方改革の好機と捉え、積極的に取り組みましょう。