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イーサリアム2.0への移行とは、何を意味するのでしょうか?
仮想通貨の最新トレンドとして注目されているイーサリアム2.0。今回は、その背景や目的、メリットやデメリット、今後の展開などをわかりやすく解説します。
目次
1. イーサリアム2.0とは何か?
イーサリアム2.0とは、イーサリアム・ブロックチェーンの大規模なアップデートプロジェクトのことです。
スマートコントラクトと呼ばれるプログラムを実行できる分散型コンピューティングプラットフォームであり、DeFi(分散型金融)やNFT(非代替性トークン)などの革新的なアプリケーションが多数開発されています。
しかし、現在のイーサリアムには、スケーラビリティ(取引処理能力)やセキュリティ、エネルギー効率などの課題があります。イーサリアム2.0は、これらの課題を解決し、イーサリアムをより高速で安全で持続可能なプロトコルにすることを目指しています。
2. イーサリアム2.0の主な変更点は何か?
イーサリアム2.0では、主に以下の3つの変更点が予定されています。
・PoWからPoSへの移行
PoW(Proof-of-Work)とは、マイナーと呼ばれる参加者が計算問題を解くことでブロックチェーンの検証を行う仕組みです。
しかし、この仕組みは大量の電力を消費し、ネットワークが混雑すると取引手数料が高騰するという問題があります。
そこで、イーサリアム2.0ではPoS(Proof-of-Stake)に移行します。
PoSとは、バリデーターと呼ばれる参加者が自分の保有するイーサ(ETH)をステーク(預け入れ)します。それによってブロックチェーンの検証を行う仕組みです。この仕組みは電力消費が大幅に削減されるだけでなく、ネットワークの分散化やセキュリティも向上すると期待されています。
・シャードチェーンの導入
シャードチェーンとは、ブロックチェーンを複数の小さなチェーンに分割することでスケーラビリティを高める技術です。現在のイーサリアムでは、すべてのノードがすべてのトランザクションを処理する必要があります。ですが、シャードチェーンでは各ノードが一部のトランザクションだけを処理することになります。
これにより、ネットワーク全体で並列的にトランザクションを処理できるようになります。1秒間に処理できるトランザクション数が大幅に増加します。
・eWASMの採用
eWASMとは、Ethereum WebAssemblyの略です。イーサリアムでスマートコントラクトを実行するための新しい仮想マシンです。現在のイーサリアムでは、EVM(Ethereum Virtual Machine)と呼ばれる仮想マシンが使用されています。しかし、これは性能や互換性に制限があります。
eWASMは、より高速で柔軟で効率的な仮想マシンとして開発されております。それによって、スマートコントラクトの開発や実行をより容易にすることが期待されています。
3. イーサリアム2.0の進捗状況はどうなっているか?
イーサリアム2.0の開発は、フェーズ0からフェーズ2までの4段階に分けられています。2020年12月には、フェーズ0としてビーコンチェーンがローンチされました。ビーコンチェーンとは、イーサリアム2.0の基盤となる新しいブロックチェーンであり、PoSの機能を担っています。
現在は、ビーコンチェーンに約600万ETHがステークされております。それによって、約2万人のバリデーターがネットワークを支えています。2021年には、フェーズ1としてシャードチェーンの導入が予定されています。また、フェーズ1.5として、現在のイーサリアム(イーサリアム1.0)とビーコンチェーンが統合されることになります。これにより、イーサリアムは完全にPoSに移行することになります。最後に、フェーズ2としてeWASMの採用やその他の機能の追加が行われる予定です。
イーサリアム2.0の開発はまだ完了してません。今後も変更や遅延が発生する可能性がありますが、着実に進んでいることがわかります。
4. イーサリアム2.0への移行は投資家にどのような影響を与えるか?
イーサリアム2.0への移行は、イーサリアムの価値や需要に大きな影響を与える可能性があります。
・PoSへの移行
まず、PoSへの移行により、イーサリアムの供給量が減少することが予想されます。
これは、ステーキングによりイーサがロックされることや、EIP-1559と呼ばれる改善提案により一部のイーサが焼却されることによります。供給量が減少すれば、価格が上昇する可能性が高まります。また、ステーキングによりイーサを保有するインセンティブも高まります。ステーキングでは、バリデーターとしてネットワークに貢献することで報酬を得ることができます。現在の年利は約7%程度です。しかし、将来的には変動する可能性があります。ステーキングには最低32ETHの保有が必要ですが、サードパーティのサービスを利用すれば少額でも参加できる場合があります。
・シャードチェーンやeWASMの採用
次に、シャードチェーンやeWASMの採用により、イーサリアムのユースケースや利便性が拡大することが予想されます。
eWASMは、スマートコントラクトの開発言語や実行環境の選択肢を増やします。これにより多様なアプリケーションを可能にします。また、eWASMは、Webブラウザやモバイルデバイスなどで直接スマートコントラクトを実行できるようになり、ユーザーエクスペリエンスやアクセシビリティも向上します。これらの変更により、イーサリアムのエコシステムはさらに発展し、イーサリアムの需要も高まると考えられます。
まとめ
イーサリアム2.0への移行とは、イーサリアム・ブロックチェーンの大規模なアップデートプロジェクトです。そして、仮想通貨の最新トレンドです。この記事では、イーサリアム2.0の背景や目的、主な変更点、進捗状況、投資家への影響などを詳しく解説しました。
イーサリアム2.0は、イーサリアムのスケーラビリティやセキュリティ、エコフレンドリーさなどを向上させます。それによって、イーサリアムの価値や需要を高めることが期待されます。しかし、移行にはまだ時間がかかることや、予期せぬ問題が発生する可能性もあることを忘れてはなりません。
投資家としては、移行の進捗状況やニュースを常にチェックし、ステーキングに参加するかどうか慎重に判断し、ポートフォリオのバランスを見直すことが重要です。イーサリアム2.0への移行は、仮想通貨の歴史において画期的なプロジェクトであり、その成否は多くの人々の注目を集めています