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料理レシピサイトで有名な「クックパッド」が今年に入って3回目のレイオフを発表しました。110人の人員削減は、グループ全体の約10%にあたります。 この記事では、クックパッドのレイオフの背景と理由、今後の展開と影響について考えてみたいと思います。
1.クックパッドのレイオフの背景と理由
クックパッドは、1997年に設立された料理レシピ投稿・検索サービスです。国内だけでなく、アメリカやイギリスなど海外にも展開しています。また、料理や食に関する専門メディア「クックパッドニュース」「FoodClip」や、コンビニや銀行などに受取り冷蔵庫を設置した食品宅配サービス「クックパッドマート」など、食に関する多様な事業を手掛けています。
1-1 クックパッドの業績悪化の理由
しかし、近年は業績が悪化しております。2022年12月期は売上高が前年比9.4%減の143億円。営業利益が同68.7%減の9億円と大幅に落ち込みました。 その原因としては、以下のような要因が挙げられます。
コロナ禍による広告収入の減少:
コロナ禍で自宅で料理する人が増えたことで、クックパッドの利用者数は増加しました。しかし、広告主の予算が減少したことで、広告収入は減少しました。
海外事業の不振:
クックパッドは、海外市場にも積極的に進出してきました。ですが、その成果は芳しくありませんでした。特にインドやインドネシアでは、現地の競合サービスに押されてシェアを失いました。
新規事業の失敗:
クックパッドは、食品宅配サービス「クックパッドマート」や食材キットサービス「クックパッドキット」など、新規事業にも挑戦してきました。ですが、その多くが採算性が低く、利用者数も伸び悩みました。
これらの要因により、クックパッドは経営改善を図るために人員削減を繰り返すことになりました。
2.クックパッドマートの改悪続きと今後
クックパッドマートは、2018年9月に開始した食品宅配サービスです。生産者や仲卸、地域で人気の食材店などから新鮮な食材を注文できるサービスです。コンビニや駅などに設置された専用冷蔵庫で受け取ることができます。
しかし、このサービスも改悪続きで利便性が悪化しています。例えば、以下のような変更が行われました。
送料の値上げ:
2020年10月から、宅配送料が無料から1回あたり300円に値上げされました。(なお、商品受け取り用の生鮮宅配ボックス「マートステーション」で受け取れば無料です。)
受け取り曜日の制限:
2023年1月ごろから段階的に配送曜日が縮小されました。2023年6月時点で週一回配送になりました。
商品の品揃えの低下:
2023年6月から、商品の品揃えが大幅に減少しました。今まではスーパーや全国各地の市場などから集められて配送されてましたが、4つの市場(豊洲、築地、千葉中央、川崎北部)からの食材流通に特化しました。これに合わせて、人気のサービス「定期便」が廃止されました。
これらの変更は、クックパッドマートの利用者から不満の声が上がっています。 クックパッドマートは、新規事業の中でも期待されていたサービスでした。今後は縮小や撤退の可能性もあります。
3.クックパッドニュースとFoodClipの現状と展望
クックパッドニュースとFoodClipは、クックパッドが運営する料理や食に関する専門メディアです。
簡単に違いを説明すると、クックパッドニュースは、レシピや食材、グルメなどの情報を提供するウェブサイト。FoodClipは、料理動画を投稿・視聴できるアプリです。
これらのメディアは、クックパッドのコア事業であるレシピサービスと連携しております。そのため、利用者数や収益性も高いとされています。 クックパッドは、これらのメディアを強化することで、レシピサービス以外にも食に関する新たな収益源を開拓するとしています。
今後は、クックパッドニュースやFoodClipにもさらなる機能改善やマーケティング施策が期待されます。また、他の食に関するメディアとの差別化や競争力も重要になるでしょう。
まとめ
クックパッドは、業績悪化のために今年3回目のレイオフを発表しました。その背景には、コロナ禍による広告収入の減少。海外事業の不振、新規事業の失敗などがあります。
今後は、コア事業であるレシピサービスの強化、新規事業の絞り込み、新たな収益源の開拓などを行うとしています。また、クックパッドマートは改悪続きで利便性が悪化。縮小や撤退の可能性もあります。
一方、クックパッドニュースやFoodClipは高い利用者数と収益性を持ち、今後も強化される見込みです。クックパッドのレイオフは、人材市場にも影響を与える可能性があります。優秀なエンジニアやデザイナーが転職活動を始めており、求人企業からの反応も活発です。