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FIREという言葉をご存知でしょうか。
最近急激にこの言葉が取り上げられることが多くなりました。
「Financail Independent Retire Early」の略だそうです。「経済的自立による早期引退」とでも訳せますでしょうか。
ネットやテレビでも、ここにきてやたらとこのFIREについて取り上げた題材が多くなっていると思われます。
今回はこのFIREについて考えてみたいと思います。
FIREは幸福なのか。
実は結論から言うと、僕はFIREについてあまり肯定的には思っていません。とくに数千万単位で飛び込む安易なFIREは絶対にやめたほうがいいと思っています。
僕は貧乏ですが投資家でもあります。投資家こそ、FIREの典型例だろ!と言われそうですが、僕の場合に限って言えば、FIREしたくて投資を続けているわけではないのです。
今回の記事ではFIREについての概要や、それについての考察を書いてみました。
1.FIREとはなにか
FIREとは読んで字の如く、
financial independence経済的に独立する
retire early早く引退すること
です。いくつかポイントがありますが、ごく簡単に説明すると
・黙っててもポケットにお金を入れてくれる資産(インカムゲイン)を早期に作りあげる←これは必死でやり遂げる
・毎月入ってくるインカムゲインの中で生活する
ということです。入ってくるインカムがたとえ少額でも、ミニマリズムなどが身に付いていて、足るを知る生活ができるなら、問題ありません。
例えば、極端な話、全資産が2,400万円だとしても、インカムゲインの利回りが年率10%あれば、年収は240万円となります。
月20万円、サラリーマン新入社員の初任給くらいは出ることになります
この20万のなかでやりくりできるような生活を身につけることができていれば、もう仕事はしなくてよい、ということになります。
あくまで投資の年利回り10%かつ、月20万以内で暮らせるならば、という話ですが。
とはいえ、一介のサラリーマンであっても、本気で取り組んでいけば、決して目指せない額ではありません。
一生労働者として会社に行くのが辛い、派手にお金を使う生活に執着がない、年利回り10%の投資効率を維持できる、ということであれば、FIREを狙うことができます。
また、同じ条件で資産を4,800万円まで築けば、月40万円入ってきます。年収は500万を超えてくるというわけです。家族四人でも暮らしていけそうな額になってきます。
これがおおまかにFIREの概要となります。
2.安易なFIREの薄気味悪さ
最近、総資産3000万円、家賃収入50万円でFIREを達成したという方の動画を拝見しましたが、なんとなく違和感というか、薄気味悪さを感じてしまいました。
総資産を3,000万まで積み上げることは、並大抵のことではありませんが、それでも引退するには早すぎるように思えたからです。
早期引退にしても早すぎる、と思いました。これは理論上FIRE達成であるものの、なんとも安易に見えてしまいました。
その動画では、ブラック企業での会社生活があまりにキツいので、とにかく必死てFIREすることだけを考えてきた。と語られていました。
いまは、月50万円の家賃によるインカムで、それなりに暮らし、ゲームなどをして毎日を送っているとのこと
この人のことをとやかく言うつもりはありませんが、この生活がこれから真似すべき現代人の姿だとしたら、なんとも薄気味悪いものを感じます。
FIREについての著書も、最近は多く出版されていますが、3000万円でアーリーリタイアしている人は皆無です。
その多くは2億や3億、つまりサラリーマンの生涯賃金とも言われる額を死ぬ気で貯め、その間に手堅い投資を学び、十分な余裕を持って引退しているのです。
しかも、こうしたFIRE達成者は、資産が増え続ける状態になっているので、ほとんどが自分のやりたいことを始めます。
それは社会貢献や起業、理想的な社会を目指す研究、さらなる成長を目指す自己研鑽といったことで、結局なんらかの仕事に戻っていくわけです。
3.不労所得を積み上げる意味
お金持ちを多く輩出ユダヤ人には、人生は2段階ある。と言う教えがあるそうです。
一つは、修行の時期。もう一つが、自分らしい人生の時期。
修行の時期には、自分の能力を磨きながら、資産を数億円への築くことが求められます。まずは稼ぐ力や貯める力を磨き上げ、自分自身がしっかりと人間的・経済的に成長する段階である、ということです。
当然、資産を積み上げるのは大変な苦労を強いられます。仕事にしても、生活にしても、稼いだり、切り詰めたりするのはとても大変なことです。
しかし、ユダヤ人には先祖からの教えである昔話「タルムード」の教えがあります。このタルムードの知恵についてはいずれ紹介しますが、こうした古くからの知恵が、複利や貯蓄、投資や借金の仕方などとともに、ユダヤ人の人間性や経済性を磨いていくのです。
かくして、巨万の富を築いたユダヤ人は、この段階から本当の自分の生活を始めます。つまり、究極にミニマムな生活に慣れ、巨大の資産運用の知恵と経済的自由が身につき、伴って人間性が成長した状態で、好きなことを始めるわけです。
この段階にはいった50、60代のユダヤ人が行うことは、その多くが社会貢献や慈善活動です。
自分が豊か担うことができた知恵を、また若い人に伝えたり、彼らの努力を支援したりすることで、喜びを得ようとします。
もう経済的自由は手にはいっているうえに、欲がなくなっているのですから、いろいろと無駄なもの買いたくなったり、無駄に時間を使うようなことには、もう全く興味が無くなっているのです。
かくして、ユダヤ人は、自分が豊かになるほか、自分の子供や孫も豊かになっていきます。莫大な相続に加え、豊かになる知恵を継承し続けていくのですから、これは最強の相続方法です。
まずは自分が豊かになること、次は人を豊かにすること。結果全員が豊かになっていくこと。不労所得を積み上げるにはそうした豊穣の未来があると思います。
対して、流行の現代FIREをなし得た人達から語られるのは、積み上げた資産からの不労所得で、自分だけが資本主義のゲームからさっさと上がり、うるさい上司とおさらばして悠々自適に暮らす。といった内容です。
これ自体は否定できるものではありませんが、少なくとも僕はこうした未来を手に入れたくて不労所得を積み上げているわけではないのです。
まとめ FIREの先に何を見ているか
ここまでの話しをまとめると
1.FIREとはなにか
FIREについて簡単に説明しました。経済的自立による早期引退。一定の資産を積み上げ、ミニマムな生活を組み合わせると3000万円くらいあれば、仕事をしなくても暮らしていけるので、好きな生活ができます。
2.安易なFIREの薄気味悪さ
数千万円単位でもFIREは可能ですが、その経済的基盤の危うさなどはさておき、気持ちの問題で幸福とはかけ離れた薄気味悪さがあります。
3.不労所得を積み上げる意味
持論になってっしまいますが、不労所得を増やしていく意味は、自分が豊かになることと、周りを豊かにしていくことがあると思います。その結果、その豊かさはまた自分にも返ってきて、いいサイクルが回る。結果全員が豊かになっていく。そんな豊穣の未来があるのだと思っています
肝心なのは、FIREを達成することではなく、達成したFIREのあとに、どんな人生を送るかだと思います。子供を豊かにする、友人を豊かにする、社会に豊かさを還元する、、、少なくともお金持ちには、そんな使命があるように思うのです。
FIREを達成するだけでも大変な努力であることは認めますが、そうさせてくれた人や知恵、元手があったはずです。持ちつ持たれつの気持ちがすこしでもあるなら、自分だけが豊かになるだけのFIREで終わるわけにはいかないはずです。
FIRE達成者が安易に自分の好きな生活を楽しむだけではなく、さらなる豊かさのサイクルを牽引していくことを願っています。