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いよいよ年の瀬となりました。忘年会などはコロナ禍ですっかりと減っていい感じ(!?)ですが、できることなら今年の膿はすっかりと忘れて、いい新年を迎えたいものです。
忘れるといえば、人間は忘れやすい生き物です。僕は特に忘れやすい方のようで、出かける時も、ちょっと気を抜くと、家の鍵やサイフ、携帯などを忘れて出てしまうことがあります。
物忘れが重なって、大事なモノを亡くしてしまうこともあります。
ちょっと間抜けだな、と若い頃は大変落ち込みました。モノそのものを減らしたり、メモを取ったり、いろいろと対策も考えてきました。
その甲斐あってか、ようやくある程度は改善してきましたが、根本的に脳味噌の中身としては、なにも変化はありません。
むしろ、ちょっとした頼まれごとなどはすぐに忘れてしまうので、若い頃より酷くなったのでは、と思うほどです。
この忘れっぽさをなんとか何かに活かせないか、と考えていました。実は投資、とくに損切りの場面ではなかなか使えるようです。
目次
サンクコストについて。忘れやすさを投資に活かす損切りの方法
経済用語には「サンクコスト」という考え方があります。
ごく簡単に言えば、もう回収できない費用のことです。過去のことは振り返っても仕方がないのだから、そこにかかった経費のことは切り捨てる、ということになりますでしょうか。
まさに損切りの考え方です。あのとき、こうしていれば損しなかった、こうしていればもっと稼げたはず、と考えることは、よくあると思います。
そして、投下資金を引き上げられない、なんていうことも。
もしかしたら、また収益が上がるがもしれない。と執着してしまう、ということです。
金融では、こうした局面で価格の再上昇を待つ時間は無駄な時間と判断します。価格が戻らずにさらに損失を産む可能性も大いにある、とも判断します。
そもそも、値上がりする、と思うから投資するわけです。投資した本人のなりに、値上がりへのなんらかのシナリオがあったはずです。
値が下がってしまったら、もうその時点で値上がりへの本人のシナリオは崩れています。
まさにサンクコスト(砂の費用)のように、投下した費用は崩れ去っているわけです。悔しいですが、負けを認めるしかありません。
今回はこのサンクコストを踏まえながら、損切りのすすめについて考えてみました。
1.損失が新たな収益を教えてくれる
一定の期間を置いても、まったく価格が上がってこない、稼げていない、なら、その投資はもう損切りポイントを迎えています。
僕もよくこの問題に直面します。あと少し待ったら、上がるかも、、と、自分の予想の根拠が崩れたことを認めずにいます。
たしかに、どのくらいの期間待つのかについては、投資によるところはありますので一概には言えません。
しかし、だからこそ、購入時にシナリオは書くべきです。
どうなったら損切り、どうなったら利確、というポイントは決めておくほうがいいでしょう。
そのポイントに、時間の問題も必ず入れておくことです。
短期投資なら、エントリーして何日間何もおきなかったら、とか、ファンダメンタル、テクニカルともに大きな動きがなくても1週間以上予想通りに動かなかったらイグジットする。など。
例えば、大災害がアメリカ起こったとして、円高になる、と踏んだとしても、2日くらい経っても何も起こらない、、、なんてことはよくあります。
それどころか、2日後には円安に触れてしまったり。
こうなってしまったら、このシナリオはもう崩壊しています。
「いやいやここから盛り返す」と思って待ち続けても、傷口を広げてしまいます。
仮に、このあと上がったとしても、もはや書いているシナリオとは別の要因で動いています。
それは偶然当たっているだけですので、今後の取引になんの影響も与えません。むしろ間違った取引を正しい取引をしたと錯覚してしまうだけ、より危険です。
手早く手仕舞いし、次の戦いに備える。素早く負けの分析や、次のトレードへの対策を行ったほうが、手堅い収益獲得の手法を手に入れられるというものです。
2.それほど覚えていられない
最初に述べた通り、人間はそれほどいろんなことを覚えていられません。
これはつまり、負の感情も、いつまでも覚えていられないことも含みます
だからこそ、損害が大きくなる前に損切りを行うのが有効になります。
その時の一時の感情こそ損したなーと悔やまれますが、損害が小さければ小さいほど、その負の感情も、忘れ去ってしまいます。
下手に負け投資に執着をもたなくなり、感情の揺らぎがなくなるというわけです。
忘れやすい性格の人などは、自分の特性を活かし、積極的に損切りをしてみてはいかがでしょうか。
3.肉を切らせて骨を断つ
損切りは、自分の予想を否定するという痛みを伴います。また、未来の利益獲得の可能性も絶ってしまうので、これまた厳しい決断です。
しかし、ここで予想の立て方を修正する、ということこそ、最も大事な対策です。
また、含み損を持ち続けることでチャートが戻ってきて利益を取れるかも、という淡い期待を捨て去ることは、潔く次への課題設定に移るために必要な行動でもあります。
こうした厳しい選択を何度も経て、失敗から教訓を得ていくことこそ、投資の感覚を研ぎ澄ますためには重要です。
まさに修行です。損失を抱え、自分を否定することはとても辛いですが、投資家としてはより稼げるようになります。
抱えた損失のために、もっと働かなければいけなくなったり、恥を忍んでお金を借りたり、返せないお金の工面を人と交渉したり、という周り道すら歩むこともあります。
情報の入れ方をかえたり、チャートの読み方を変えるなど、自分が慣れ親しんだやり方の変更も余儀なくされるかもしれません。
それでも、大きな収益をあげる、その先の叶えたい夢や目標に到達する、という将来をブレずに見ていれば、そうした苦労も乗り越えられるというものです。
まさに損切りするときは「肉を切らせている」と言い聞かせて、自分の大きな目標を達成するという「骨を絶つ」というところまで、粘り強く自分を変えていきたいものです。
まとめ サンクコストを理解して正しく損切り
ここまでの話をまとめると、サンクコストとは過去の損失を考えないという損切りの概念です。その活かし方については
1.損失が新たな収益を教えてくれる
損失したことをクヨクヨと悩まず、投資に損失はつきものだと割り切り、同じ失敗をしないためのケーススタディとすることです。今後の投資で損失をないためには、損失から学ぶことが大切です
2.それほど覚えていられない
ありがたいことに、人間の脳は、あまり色々なことは覚えていられません。つらい損失も、原因をおさえたら、あとはほっておけば、しばらくのちに忘れます。次の投資に消極的にならないためにも、程よく忘れてしまう脳の機能に身を任せてみましょう
3.肉を切らせて骨を断つ
多少の損失は、投資にはつきものです。損失から学んだら、損した時のマイナス思考は忘れ去り、またしれっと取り組みましょう。次こそは骨を断つ、と成功のイメージを保てますし、それが成功を引き寄せます。
といったわけで、要するに忘れやすさは、決して悪いことではないと思います。
忘れっぽい自分を自覚している人は、ぜひ投資をやってみることをおすすめします。あらたな才覚を発揮するかもしれません。
一年の終わり、今年もし、いまひとつの一年だったと思う方はとくに、文字通り忘年し、また来年から新たに挑戦していくのはいかがでしょうか。
僕も持ち前の忘れっぽさを付き合いながら、来年も挑戦的に迎えていきたいと思っています。