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ドコモ口座事件は、まだマスコミは大きく取り上げないものの、貯金至上主義の日本人にとって資産管理上とんでもない事件となってしまいました
なにしろドコモ口座を作っているかどうかは全く関係ないのです。ドコモ口座のことなど知らなくても、お金が抜かれてしまう事態が起きています。
一部ニュースでは、まったくドコモ口座と関係なく、その口座のことすら知らなかった人の口座から、お金が抜かれてしまったことが報道されていました。
高度経済成長期から長らく語られてきた貯金神話、預金の安全神話は、もろくも崩れ去りました。利息が付かないだけでなく、手数料が高くなっているだけでなく、金庫としての安全性も担保されなくなってしまったからです。
(貯金のみの危うさについては、一度書いたことがありますので、こちらもぜひご覧ください)
となると、銀行口座の種類をふやしても、何の対策にもなりません。銀行無くして、どのような蓄財方法があるというのでしょうか。今回は蓄えたお金の守りの面を考えてみます
ドコモ口座で銀行の安全神話に疑問符。3つの分散管理で資産を守ろう。
NTTドコモは被害額がそれほど大きくないということで、現在口座に加入中の顧客におもねり、サービスは停止しないとのことです。
迷惑な話ではありますが、どのみちドコモ口座のサービスを止めても、また同じような犯罪が起こらないとも限りません。
銀行が対策しない限り、銀行口座からはお金が抜き取られてしまう、という悲しい事態です。
これはちょっとした金融テロであると同時に、もはや銀行口座も安全ではない、つまり銀行預金口座はお金の置き場所として安全ではないことも露呈してしまったわけです。
ドコモ口座に限らず、こうした事件は今後も起きる可能性が示唆されてしまいました。
預金ではもはやお金は減るだけでふえることはない、と以前書きましたが、それどころかお金を抜き取られる可能性すら出てきてしまいました。
一定の現金はもちろん大切ですが、もう銀行に全財産を預ける時代は、完全に終わったと思っていいのではないでしょうか。
そこで今回は、銀行口座以外で財産を守る方法について考えてみます。
1.投資口座
まずは投資の口座です。これは銀行ではなく証券会社が作っている口座です。
金融関係についてのセキュリティは、投資家たちの沢山のお金を預かっているため、非常に高いです。
また大手のメガバンクのように定期的にパスワード変更依頼が来るほか、ハッキングされないように、仕組みを複雑にしています。
また一般の証券会社よりも、ネット証券がいまはオススメです。SBI証券、楽天証券、松井証券、マネックス証券、DMM証券など、ありとあらゆる方面から、ネット証券会社は参入著しい領域です。
消費者の取り込みにも必死なため、対面できないことを除けば、サポートは手厚いといえます。
分からないことは、グーグルのようにたくさんのQ&A記事をそろえていますし、きちんとしたウェブセミナーも展開されています。AIロボットによるチャットでの簡易的なQ&Aや、オペレーターとのチャット、電話回線などもつなぐことができます。
何よりいいのは、営業マンを介さなくていいので、あることないこと言われたり、大事な決断を横から促されるようなことがない、という点です。
もともと、投資は自己責任ですので、いつも最終的に決めるのは自分です。ですが、営業マンがいれば、そちらに従ってしまうのも人間です。
ネット証券は最初から促されることはありませんから、ゆっくりと証券をウィンドウショッピングできます。買いたい株式や債券、投信などについて詳しく知りたければ、自分で調べるしかありません。
そのかわり、豊富な情報にパッケージされて商品が案内されます。購入者はその情報をあらゆる角度からつかみ、自分で分析し、自分の判断で投資商品を購入するのです。
また、投資口座にお金を入れておく、ということは、いつでも流動性の高い投資に参加できることになりますから、インカムゲインが付加されてお金が増えるというメリットもあります。
セキュリティが高い上に、現金の他にペーパーアセットに代えて資産を保持しておくことができます。ドコモ口座の犯人であっても、株式や債権に形態が変わってしまっている資産を盗むことはできないでしょう。
2.実物資産
実物の資産、つまり金や絵画、茶碗など、いくらかの現金をこうした貴金属や芸術作品などに代えておけば、銀行オンリーでお世話になるより、分散された資産管理を実現しています。
たしかな目で、価値のある現物を見ぬかなければなりませんが、それができれば、時代とともに価格も上がっていきますので、現金を持っているよりも将来性があります。
ですが、絵画やワイン、骨董品といったものは目利きが難しく、駄作を傑作と勘違いして保存してしまうこともあります。よっぽど目利きが好きな人でなければ、これを続けていくのは大変です。
現物で手堅いと言えば、金(ゴールド)のことになるでしょうか。これは誰の目にも価値があると明らかですし、全世界で使うことができます。
利息や配当がつきませんが、価値を守る、と言う意味では、もっていればその価値は上昇し続ける物質と言っていいでしょう。
手元に置いておけますし、インゴットという手のひらサイズの板で10グラム~1キロくらいまで様々ありますので、わりと手軽に手元に置いておけます。
ただし、金庫などで厳重に守る必要はあるかも知れませんね。
もし、現物で手元に置くのは困難や不安がつきまとう、と言う人は、ゴールドの価値をそのまま紙に変換したETFという紙の資産で購入しておくと良いでしょう。
証券会社の口座で管理でき、紙幣と違ってドルの価値そのものです。株式のように、世界情勢で価値が下がることがありません。あくまで金(ゴールド)の価値と連動して価格が上下します。
金は、この10数年で価値が10倍近く上がっていますし、このコロナ禍でまたその価値を上げました。現時点で1グラム7000円以上の値を付けています。もう売ってしまいましたが、私が購入したときは、5000円程度でした。
その辺については、こちらに書きましたので、ぜひご覧ください。
有限資産でありながら、宝石類・装飾品はもちろん、工業製品の部品などにも使われていて、希少価値がますますあがっているので、資産を守る上ではとても良いと思われます。
また、世の中に限りがあるもの、といえば、もう一つは土地、つまり不動産です。
これも、金と同じく価値を守りながら上げていく、と言う意味ではオススメです。ただし、金とは違い、有限でありながらも、価値が下がってしまう土地もありますので、手堅く人気の土地をもつことが大切です。
とはいえ、現金のみを持っているよりは、こうした資産にいくらかをスイッチしておくのは大切だとおもいます。
他にも、腕時計、宝石などは家族単位で代々もちつづけることで資産を守ると言われます。子孫に資産を残したければ、こうしたものを確保しておくのも良いかも知れません。
3.海外口座
日本に現金を置いているから、良くないと言う面もあります。現在の普通預金の金利は0.0001%程度。年間です。これではゼロと一緒です。時間外のATM引き出し一回分の手数料にもなりません。
昔は年間で7%くらいの金利がつきました。高度経済成長時代の会社員は、働いたらせっせと銀行に預金すれば、退職する頃には自分の貯金額の2~3倍は手に入ったのです。
退職する頃には、3000万近くの現金があるわけです。ちょっといい会社のの社員なら、さらに多くの現金がありました。これなら年金2000万問題など関係ありません。
日本の銀行が、それだけ強い時代があったのです。銀行とは、本来そのくらいの力があるのです。
ですが、少なくともいまの日本の銀行にそれだけの金利は期待できません。
ところが海外は別です。アメリカの銀行なら、2~3%、新興国なら5~7%の金利が普通についている銀行があります。
もちろん、為替のリスクもありますが、日米の為替ならここ数年間100円~120円、もっと言えば、多くのシーズンでは105円~110円の間を推移しているのですから、かなり安定していると言えるでしょう。
そうした中で外貨に替えて預けておくだけで2%の金利がつくというのは、オトクといえる投資手段と言えます。というより、これは投資ではなく貯金ですので、さらに手堅い方法と言えるかも知れません。
日本の経済は長らくゼロ金利政策が続いていますので、なかなか金利上昇局面がみえませんが、どちらかといえば日本の銀行が異常なのです。
ヨーロッパ、アメリカ、新興国に至っては、平均して2~3%、少し良ければ5%くらいの金利はわりとついています。それに、各国の国民はこういった銀行にお金を預けており、それが普通です。わざわざ金利の低い日本の銀行に預けている人などいないでしょう。
外国の銀行口座を開くのが面倒な人は、FX口座にレバレッジ1倍で入金して、スワップポイントを手に入れていくのも一つの手段かも知れません。
ウィークDAYは1000通貨あたり毎日数円~数十円のスワップポイントがつきますので、毎日利息が付いている感覚です。
銀行に預けるよりは、安全かつ効率よく増える方法といえるかと思います。
まとめ とはいえ貯金も大切。収入の10分1を貯金しながら分散を
ここまでの話をまとめますと
1.投資口座
銀行並みにセキュリティが高い上に、銀行よりも狙われる可能性は低くなります。運用することでお金が増える可能性も秘めています
2.実物資産
一定の目利きは必要ですが、持ち続けることで資産の価値を守ってもらえます。ゴールドなら、目利きは必要ありません。
3.海外口座
同じ現金で安全に管理していくなら、海外の口座を検討するというのはどうでしょうか。セキュリティが高い上に、金利も日本の銀行よりずっと良いので、お金が増える可能性も多々あります。
とはいえ、生活を防衛する資金として、今すぐ現金が必要になる、ということは確かにあると思います。
資金の全額を移すのではなく、生活に最低限必要な分はある程度銀行口座に入れておく方が良いでしょう。収入の10分の1を貯めながら分散投資する、というのが一つの目安です。
このようにして、10ヶ月が経つと、1ヶ月分の収入が貯まります。先に収入3ヶ月分くらいの余裕資金を作ってから分散に入れば、いざというときに流動性の高い現金を確保しつつ、大切な資産を守り続けることもできます。
ドコモ口座問題で、銀行だけに入れ続けるのはやっかいごとの種となる時代となりました。
お金を抜かれる前に、銀行口座の種類を増やすのではなく、保有資産の種類を増やすことで、より確実に資産を防衛することが、ゆくゆくの安定と豊かさに繋がるのだと思っています。