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大家をしていると、それほど感情的に強くないですので、すぐに入居者になにかサービスを提供しようと思ってしまいます。
しかし、なにかサービスをするときは、ある程度のこちらの資源を切り崩してしまいます。
しっかりと収益をとれると計算してから動かないと、結局せっかくの投資なのに、投資効率が落ちてしまいます。
満室になれば、ちょっとくらいの支出は解決するだろう、と思って、あまり考えずにサービスをしてしまうと、満室になっても取り返しがつかなくなってしまうこともあります
ただ不動産業界というのは、ブラックな目線でみられていますので、入居者にあまりに塩対応だと、ここもそうか、と思われて、関係が悪くなってしまいます。
やるべき対応は、きっちりとやるべきですので、そこを確保しながら予算を絞らなければなりません。
目先
- 収益を優先する。賃貸契約時の注意点3つ
- 1.契約の優先順位は予約金を入れた時点から
- 2.こちらが断っても理不尽にならないような準備
- 3.決めた家賃を絶対に引かない
- まとめ ケチなように見えるが、きちんとサービスするため。
目次
収益を優先する。賃貸契約時の注意点3つ
予算を確保できてこそ、収益とサービスが出来る訳ですから、収益にはシビアになるべきです。
収益が先、サービスが後。この順番は崩さない方がいいと思います。健全な経営にはシビアな視点が必要です。
まさに身の丈にあったサービス、身の丈にあった予算の使い方が重要です。
最近、自分自身でも自主管理物件で反省を余儀なくされる対応をしてしまったことがありました
そこで今回は賃貸大家さんの、とくに契約の前後に係わる注意点を3つに絞ってお話ししていきます
1.契約の優先順位は予約金を入れた時点から
先日、大変やきもきした一件がありました。内見後、返事待ちの状態の時に、もう一つ内見依頼がありました。
1番目の人が内見してから1週間経っていましたので、もう申し込みはない、と思い、2番目の人と内見の日取りを決めてしまいました。
2番目の人とは、3日後に内見の約束をし、その内見の日が明日に迫った夜、1番目の人から「入居したい」と依頼が。
うれしい依頼でした。すぐに契約の内容をメールで送信し、保証金を入れてもらうよう頼みました。2番目の人との内見予約には、断りを入れました。
しかし、その後、1番目の人からぱったりと連絡が取れなくなってしまったのです。
結局、保証金も取れないままでしたし、契約も済ませられんでした。しかも、次の内見予約も断ってしまったので、ふたたび空室対策は振り出しです。またしばらく苦労が続くのか、とかなりヒヤヒヤしました。
結局、さらに数日後にこちらから電話を入れたところ、なんとか繋がりました。
聞けば保証人の件をお父様に依頼していたとのこと。また入居の日取りなども調整していたとのことで、連絡せずすいません、とのことでした。
きちんと入居までのプロセスを管理、案内せずに、完全に入居者側に裁量を委ねていたために、こちらが慌てる羽目になってしまいました。
2.こちらが断っても理不尽にならないような準備
こういった例なら、最初の内見者に、別の人から予約金がはいったら、文句を言わずに手を引くことについて、言質をとっておきます。
契約書まではいかない程度の、簡単な約束事を書いた紙面をやり取りして、サインをもらっておくことです。
つまり、もし2番目の人が内見して先に内見したのだから、交渉権はこっちにある、と言われないようにしておきます。
こうすれば、とにかく予約金を入れない限り、契約の優先権は誰にもありません。
交渉の優先権がこちらに担保されますので、返事をめぐってやきもきしなくて済みます。
そして、次の内見者には、返事待ちの内見者がいることを伝えておけば良いのです。
このようにして、断れる状態、断ってもこちらが筋を通している状態を作るようにし、大家側としての取引の主導権を外さないようにします。
3.決めた家賃を絶対に引かない
大家業は、部屋数が決まっているので、家賃を下げてしまうと、その分の収益は絶対に得られなくなってしまいます。
ですので、家賃だけは絶対に下げるべきではありません。もし下げるとしても、最後の手段です。
家賃交渉してくる、ということは、身の程以上の部屋を求めている入居者である、ということです。
のちのち家賃を滞納したり、クレームを入れてくる可能性もありますので、どんなに残念でも、悔しくても、惜しいと思っても、入居を断るべきだと思います。
周りの地域や経験、積算された土地値や家屋の価値、それらから計算した利回りから算出した、適正な家賃であれば、それほど法外な値段でない限り、借り手が現れます。
焦らずに、いいご縁が来るのを待つべきでしょう。
どうしても何か入居者にサービスするなら、家賃ではなく他のものでサービスするのが良いと思います。
家具や自転車などのモノでのサービス、もしくは掃除や入居者が喜ぶ手伝いなど、大家の努力でできるサービスなど、家賃以外の工夫によって、賄うようにします。
モノの購入については、結局何かを支払うので、同じに見えますが、そうではありません。毎月の収入を変えなければ、サービスの考えようもあるというものです。
逆に毎月の収入を下げるようなサービスをしてしまうと、次のサービスを生み出しにくくなります。どんどん辛くなっていってしまいます。まさにジリ貧です。
まとめ ケチなように見えるが、きちんとサービスするため。
ここまでの内容をまとめると
1.契約の優先順位は予約金を入れた時点から
仮契約や予約金など、具体的なものを決めるか、もらうか。そこから先が本契約の優先権だという仕組みを整えておくべきでしょう
2.こちらが断っても理不尽にならないような準備
今回の事例は、どのタイミングで、どちらにどのように断りを入れておくべきだったかを痛感しました。入居者が最終的に入ってくれたから良かったものの、あまりいろいろと先々に断りを入れて、へそをまげられてはまずい、と、決定権をかなり入居者側に譲ってしまった結果、ひやりとする場面に遭遇しました。すこしシビアに見えても、断りを入れるタイミングや手順は常に整理しておき、こちら側の交渉権がなくならないようにしておきたいものです。
3.決めた家賃を絶対に引かない
また、今回のような事例では、次の内見希望があったのにもかかわらず、それをみすみす手放すような手順を踏んでしまいました。空室が決まらない焦りなどから、ずるずると家賃をさげて提案したり、下げる交渉に応じなければならなかったりするとなると、いよいよ予期せずに不利な賃貸契約となってしまいます。
と言ったことになるでしょうか。
ややテクニカルな話となってしまいましたが、大家業は孤独ですし、サービス業でもあります。ひとたび対応や手順を間違えれば、利益が取れなくなってしまいます。
賃貸業は、仕掛けることはたくさんありますが、結果として待つ仕事です。家を選ぶ権利はもちろん、入居してもらった後も、修理を要求する権利などは、つねに入居者にあります。
もちろん、強気に断ることもできますが、関係性が悪いままでは、空室も多い昨今、すぐに別の物件に行かれてしまいます。
ましてや自分の家を貸すのですから、交渉の主導権だけは常に自分が持っているようにしなくては、対等に入居者と向き合えません。
利益が取れなくなれば、自分の収益はもちろんのこと、今いる入所者へのサービスの質も落ちてしまいます。
そうならないために、踏むべき手順を常に整理し、交渉の主導権を外さないことで、入居者と対等に向き合うことが大切です。