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不動産投資を始めたいと思いますか?
不動産投資は、投資の中でも王道の投資といわれ、そのノウハウは多くの書籍にも示されている通りです。
不動産投資に関するセミナーや動画、雑誌、広告、DMなどは本当に数限りなくあると言ってよいでしょう。
一方で不動産を購入するには、基本数千万円のお金がかかります。最近ではさまざまな工夫により数万円から始められると謳う人もいますが、教科書的には、やはり大きなお金が必要です。
それだけに、少額から投資を始めてみようという人にとっては、敷居が高いと感じるかもしれません。
今回は、そうした不動産投資の中でも、比較的始めやすい区分マンション投資について一部ランニングコストの把握の仕方ご説明します。
ごく一般的な話になりますので、不動産投資に慣れている人にとってはあまり目新しい話題はありません。
これから区分マンション投資を始めてみようかな、という方に、扱う金額や落とし穴、気をつけたいポイントなど、この投資との現実的な距離感を掴んでいただけたら幸いです。
きっかけをくれた不動産投資
僕自身は、投資自体にひょんなことから関わることになりました。会社員時代に勢いで全額ローンで購入したマイホームを貸すことになり、ここから投資に触れることになったのです。
当時はアメリカのサブプライムローン問題すら始まる前でした。サラリーマン大家などが会社の名前でローンを借り、ばんばんアパートの大家になりまくっていた時代だったのです。
20代だった僕はそんなことは知らずに、たまたま妻と買い物帰りにモデルルームに寄ったことがきっかけで、あれよあれよという間に購入してしまいました。
マンション購入後にすぐに転勤となり、せっかく清水の舞台から飛び降りる気持ちで買ったマンションからは出なくてはならなくなりました。
このとき、家をあけておくのは風通しも悪くなり、良くないなと思って人に貸したのが始まりです。
不動産投資を狙ってやったわけではなく、まったくの成り行きというわけです。
ところが、新築だったこともあって、貸した家は比較的よい値段ですぐに借りてがつきました。
毎月のローンの支払いを払ってもお釣りが来るくらいの家賃が入ってきて、とても生活が助かっておどろいたことを覚えています。
しかし、経費計算なしにこのお金を使い、貯金していなかったため、あとでいろいろな経費がかかり大変な思いをすることになります。
しかし、これと同時に、僕は不動産をはじめとして、投資とのつながりを深めていくことになったのです。
(ちなみに、急な転勤や家族の都合、離婚などのようなやむを得ない事情を除き、意図的に住宅ローンで家を買い賃貸に出してはいけません。銀行がそれを知ったら、すぐに全額返済を求められますので絶対にやらないでくださいね。)
今回の記事では、僕が区分マンション投資を本格的に始めた時、把握していなかったランニングコストについて、主なものを紹介していきます。
不動産は株や金、債券などと違い、購入後に一定のランニングコストが経費としてかかります。
この経費を含んだ実質利回りを把握しておかないと、思っていたより手取りが少ないな、とがっかりしてしまいますのでご注意ください。
あくまで、不動産売買サイトなどに載っている利回り、20%や30%というような夢のような数字は、この実質利回りを含んでおらず、表面利回りと言われています。
いくつか種類があるのですが、主なものをパッと思い出せるような工夫として、「かしとこか」で思い出すとよいでしょう。
賃貸の経費なので、かしとこか、なかなか語呂がいいですよね。なにかの書籍でこの語呂合わせを読みました。
今回は、かしとこかの説明に加えて、僕なりに購入時に把握しておくべき経費も付け加えてみました。
これらの経費をしっかり把握して、正しく手取りを把握してみてください。
1.か 管理費(管理会社、管理組合)
まずは管理費です。不動産賃貸の中でも、区分マンションはとくに自主管理することはほぼありません。
アパートやマンション一棟なら、逆に自主管理してみるのも醍醐味の一つですが、マンションの一室を貸す区分マンション投資だと、いくら大家とはいえ、部屋の中を見回ることなど出来ないでしょう。
不動産管理と一口に言っても、仕事は色々です。入居者募集、賃貸契約、トラブル対応、修繕、家賃回収、などなどいろいろあります。
こうしたさまざまな業務を代行して行ってくれるのが、賃貸の管理業者やマンションの管理組合です。
賃貸管理は、だいたい不動産屋さんがやってくれます。空室を埋める、客づけに強い不動産屋さんもいれば、法律関係に詳しかったり、いい修理業者とつながりがあるといった管理面に強い不動産屋さんもいます。
そして、ふつうマンションは他の住民と共有する場所ですので、マンションそのものに管理組合があります。管理組合は、共用部の管理をしています。
こういった管理会社や管理組合に支払うのが管理費です。賃貸の管理会社には、だいたい家賃の5%を支払うのが相場です。
また管理組合にも管理費を支払います。管理組合費とでも言いますでしょうか。これはワンルームなら2千円前後、タワマンなら2万円前後と、物件の大きさや質によって決まります。
中古の一般的な一人暮らし用区分マンションで2,000〜5,000円くらいというところかと思います。
広告には、この後で説明する修繕費とあわせ、管理修繕費などといって、一括で1万円くらいで出ているのがよくあるパターンです。
管理修繕費は、安ければ入居者は助かりますが、その分修繕や管理も質の悪いものになります。
マンションとしての管理修繕費が安すぎたせいで、大規模修繕費の積立が足りず、住民に再度出費を募ることになったという事例も少なくありません。
こうした二つの管理費が当たり前にかかることは、理解しておきましょう
2.し 修繕積立金
当然ながら、建物は住み続ける間に必ず悪くなっていきます。一軒家なら、高いとはいえ額は限定的ですので、すぐに直すこともできるでしょう。DIYする、という方法で修繕することもあります。
ですがマンションはそうは行きません。たくさんの人々が同じ建物の中に住んでいるのです。また、地震などでひとたび修繕となれば、その住民の生命にも関わる大工事になってしまいます。
そこでマンションに住む人は、購入後からすぐに修繕費を積み立てる仕組みになっています。
あらかじめ10年ごとに大規模な工事ができる額を物価上昇も織り込んで計算し、10年分の120ヶ月で割り、修繕積立金として回収していきます。
ですので、こちらも必要経費として覚えておかねばなりません。
3.と 都市計画税
ここから二つは税金です。まずは都市計画税になります。不動産を持つと、都市計画税が必ず取られます。
これは、自治体の公共施設の整備に使われる費用です。土地や空間を持つ分、所属の都市の発展に貢献しなさい、という意味合いの税金です。
都市計画税の税率は、都市により少し違いはありますが、物件の固定資産評価額の0.3%が上限です。
1000万円の評価額の不動産なら、3万円ですね。
固定資産税評価額は、固定資産税の納税通知書に記載があります。これから購入するひとは、その家や土地がある場所の役所で固定資産税台帳をみたいといえば、調べられます
4.こ 固定資産税
不動産につきものなのが固定資産税です。土地を所有したら、その広さに応じて国や自治体に税金を納めなくてはなりません。
土地を買う、といっても完全に持ち主のものになるわけではなく、ほんの一部はお上に税を納めなくてはなりません。
固定資産税は、土地の本当の持ち主は誰なのかをやんわりと理解させられます。一個人は土地を買ったとはいっても、国から分けてもらっているに過ぎません。
とはいえ、大昔の武士や貴族がやっていた年貢制度や荘園制度などに比べれば、だいぶマイルドな税率です。とはいえ、土地を完全に所有できるわけではないことはわきまえておくべきでしょう。
固定資産税は前述のとおり、役所で固定資産税評価額台帳を見せてもらうことで知ることができます。
固定資産税評価額では、その土地や家の税金を計算するための基準額が記載されています。この評価額が、政府が見ている家の価格というこのになります。
不動産は一物五価といわれ、一般に5通りの価格算定法がありますが、固定資産税評価額はその一つです。ほかの算定法にくらべ、少し低めに価格が出やすい傾向があります。
この固定資産税評価額に、標準課税率である1.4%をかけたものが、固定資産税です。
たとえば評価額1000万円の不動産なら、×0.014で、14万円。これが毎年納める固定資産税というわけです。
先ほどの都市計画税を足すと、17万円が年間で支払う税額となるわけです。毎月14000円ちょっとの支払いですね。
納期は一括のほかに、年4回に分けての分割での支払い方法もあります。最近は自治体によってはPayPayやLINE payなどのコード決済でも払えるようになってきました。
都市計画税とあわせ、年間の支払い額を算出したら、12で割り、毎月のランニングコストとして把握しておくとよいでしょう。
5.か 火災保険
絶対に必要というわけではありませんが、大家である以上は入っておいた方がいいのが火災保険です。
火災保険というのは、文字は火事に対する保険のように見えますが、実際には水害や雷、雹の被害、または下の階への水漏れ、家電の故障などにも対応しています。家財保険ともいえる保険です。
長期にわたり、家を貸すなかでは、実にさまざまなことが起こります。とくに地震はいつなんどき起こるか分かりません。
もし地震で建物にひびなどか入った場合、大規模修繕が行われますが、修繕費の追加などを管理組合から要請されることもあります。
また、入居者からどこそこが地震で壊れた、などの問い合わせがくることもあります。
入居者にも火災保険に入ってもらうのが一般的なので、入居者が責任を負うべき故障は入居者の保険ですが、地震による故障は大家責任です。
こうしたことで不慮の出費を余儀なくされることがありますので、できるだけ火災保険は入っておいた方がよいでしょう。
加入の内容については、代理店と相談次第となりますが、最近では大家向けの火災保険も保険会社が商品としてラインナップしています。
そうした商品を中心に選び、1年や2年に一度、無駄な補償や足りない補償を見直してメンテナンスして、自分に合った保険にカスタマイズしていくのがよいと思います。
こうした保険料も月割りして、毎月のランニングコストとして把握しておきましょう。
6.購入時のコスト
そのほかは、物件を購入するときにかかる経費がいくらかあります。いくらになるかは読み切れないものもありますが、だいたいこのくらいかな?と算定しておくだけでも、何も考えないよりはいいと思います。
項目によっては、毎月のランニングコストに入れるより、購入時の物件の金額に入れた方が計算しやすいものもあります。どちらに算定するかは、購入者次第です。
具体的には、以下の通りです。購入前に抑えておくと良い
●仲介料と物件取得税 物件価格の7%
→購入価格に含めることも多いです
●空室率
→物件によりまちまちですが、0%としておくのだけはやめましょう
●原状回復費
→入退去時に発生します。工事とクリーニング代です。ワンルーム20㎡くらいの部屋なら、10〜20万くらいが相場です。高くとも家賃の半年分くらいで抑えたいところです
●売った場合の下落率
→区分のワンルームは、売った場合、買ったときよりも低い値段になることも多いです。
正確じゃなくてもよいので、10年後の販売価格がいくら下がるかを判断し、毎月の出費に算出しておきましょう。
500万円くらいの区分の場合、数万円なら気にすることはありませんが、百万円以上減額するようであれば、間違いなく毎月のランニングコストに組み入れるべきです。
家賃が入ってきても、売ったときの減額によるキャピタルロスが多ければ、結局トータルの利回りが大きく下がってしまいます。
●ローンの返済
借入を起こして購入しているなら、確実にランニングコストに入れるべきでしょう。
副業で区分マンション投資をしている人では、自分の給料もある分、ここの計算を甘くしがちです。
変動金利のローン場合だと、毎月の支払い額が大きく変わる可能性もあります。ローンの支払い額はきちんと把握しておきましょう。
いまの日本では、長期ゼロ金利政策が続いていますので、変動金利有利の状況が続いています。ですがいつ政策が転換するかわかりませんので、一定の管理は必要です。
このように、購入時や売却時に発生することが分かっているコストも、細分化してランニングコストに入れておくと、備えが充実して安心です。
急な出費にも耐えられますし、入ってきた家賃を過大評価して無駄遣いすることもなくなるでしょう。
まとめ 不動産投資は味わいのある事業
ここまでの内容をまとめると、区分マンション購入時に考えておかなければならない経費としては、
1.か 管理費(管理会社、管理組合)
2.し 修繕積立金
3.と 都市計画税
4.こ 固定資産税
5.か 火災保険
6.購入時のコスト
となります。これらをあらかじめ引いた実質利回りを計算できるようになると、毎月の本当の手取りが把握できます。
不動産投資は、株式投資やFXあたりとは少し違い、ほぼ事業といえる投資です。
税金の収入項目にもちゃんと不動産所得という項目があり、給与所得や事業所得とはまた別の独立した項目で処理されます。
給与所得はたくさん課税されますが、不動産所得は事業所得とほぼ同じで、経費を積み上げることで節税できます。仮想通貨やFXなどは雑所得ですので、節税しづらい投資となります。
それだけ、不動産投資は他の投資と違う扱いをされているということです。狙った商品にお金を出すだけで配当や値上がり益を狙うものではありません。
さまざまな業者を通じながら、さまざまな仕事をしなければなりません。
わかりやすいところだけでも物件探し、購入、修繕、客付け、入居案内、契約、入居者ケア、空室対策、害虫害獣対策など、やるべきことはいろいろです。
とはいえ、やる仕事を理解して把握してしまえば、それほどやることがなくなるという側面もあります。
また、一度仕入れたノウハウをコピペで駆使することで、収益を青天井に上げていくこともできます。
知力、体力、時の運、さらにはコミュニケーション、眼力、胆力、マネージメント、マーケティング、リスク管理、IT技術、エンタメ性など、さまざまな人間力を試されるところにも、その奥深い魅力があるのが不動産投資です。
まるで会社員のようにさまざまな仕事で自分を磨きつつも、ときには社長のように大胆な判断を下す。うまくいかなければ後処理は大変ですが、もしうまくいけば儲けはもちろん総取りです。
そんなことに資金を投下する、、これが不動産投資です。まさに事業と言えるでしょう。
資金こそ他の投資よりも元手はかかりますが、その収益性や事業性にハマる人も多い、味わいのある投資です。
かかる経費については、かしとこか、+購入経費、、、と意識していれば、まずは大丈夫ですので、ぜひ楽しみながら実践されてはいかがでしょうか
ぜひ大家業という世界に足を踏み入れていただき、仕事の面白さ、楽しさを知っていただけたら幸いです。
あなたが一段と豊かな人生を送られることを願っています。