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あなたは、不動産投資をしようと思っていますか?
不動産は高い買い物ではありますが、うまく借り手がつけば、家賃というインカムゲインを手にすることができます。
都市部でファミリータイプの家を購入し、賃貸に出せば、だいたい10万円から15万円くらいは収入が入るようになるでしょう。
新社会人1人の初任給のおよそ半分〜1/3くらいの額が、給料のように定期的に入るのですから、とても良い資産です。
5〜600万円くらいの中古区分マンションでも、家賃は5〜7万ですから、理論上はちょっといい車を買うような出費で毎月いい収入が得られることになります。
目次
素人ほど不動産を現金で買わない方がよい
高い買い物ですので、現金で購入することはあまりないかもしれません。
ですが、借金について悪いイメージがあると、できれば現金で買いたい、となるはずです。
たしかにその方が、自分一人で判断できますし、借金を負って精神的に辛くなることもありません。
そこで、10年間ボーナスを積み立てて、、とか、退職金で、、などという人生に何度もない大金を得たタイミングで、現金で不動産投資するケースもよく見られます。
これは、僕もそうだったのです。現金購入にはそれなりにメリットもあるため、このような手法を使っていました。
ですが、低金利時代のこの日本の現状で不動産投資をするなら、ローンを引くことをおすすめします。
今回の記事では、ローンを引く本当の意味について3つの視点でお話しします。
かと言って、どこからでも借りていいわけではありませんので、その部分にも、触れたいと思います。
退職金で不動産投資を始めようとしているなら、この記事を読んでからでも遅くはないかもしれませんよ
たしかにある不動産の現金購入のメリット
銀行と組まず、潤沢な資金を背景に不動産投資するメリットも、たしかにあります。
たとえば、現金購入なら、物件購入時の買いスピードで他の人に負けない。ということです。
多くの人はローンを組んで土地と物件を購入するのが不動産投資です。ですので買いたい物件が掘り出されたあと、内見があって、その後ローン審査を行うのが通常です。
ということは内見やローン審査が行われる間は確実に時間を取られてしまいます。
売主からの売りの優先順位では、購入の早さ、スムーズさは高く評価されます。そうした意味では、現金購入するというカードを持っているのは相当な強みなのです。
もし、購入の手挙げに2名や3名が候補として上がった場合は、提示金額もさることながら、購入の早さ、スムーズさがあると、売主は取引相手の1番目に入れてくれます。
これは、不動産を売る側ははやく手放したい場合が多いからという側面が強いと思います。
また、借金を負わないで済むのですから、単純に精神的重圧もありません。
うまく借り手がつけば、あとは収入が入ってきますので、支払った分もすぐに取り返せる。現金信仰の方ならそう思うことでしょう。
現金を残す必要性について
ところが、不動産においては、ことはそう簡単ではないのです。家は買ったら賃貸に出して終わりではありません。修繕が必要なこともあれば、空室となって借り手を探すこともあります。
こうした対策に、またお金がかかるのも、厳しい現実です。
こんな時、不動産は株や投資信託のように、投資対象の一部を切り売りすることもできません。
土地の切り売りでもない限り、基本的には土地と家をセットで一括売却でさばくしかないのです。このあたり、ちょっとゼロサムゲームの要素があります。
そのため、不動産投資は、いかにキャッシュを手元におきながら利益を出すか?という視点が大切になります。
大金を扱う投資だからこそ、手元に置くお金は多く、使うお金は借り物で済ます。
借金も現金も同じお金には違いないのですが、大金持ちでもない限り、不動産投資でお金を増やすなら、手元の現金を以下に使わずに大金を動かすか?ここを考える必要があります。
というわけでここからは、銀行と組み、ローンを借りるメリットについて、3つのポイントで深掘りしていきたいと思います。
1.現金を確保できる
いわずもがな、ローンを借りることで、手元の現金を確保することができます。説明するまでもない、融資のメリットです。
なんとなく、利息がつかない分だけ、すべて現金でやりとりする方がよいのではないか?と思われる方も多いと思います。
事実僕もそう思っていたからこそ、現金購入をやってきた側面はあります。
ですが、不動産投資の最大のメリットは、スケールメリットです。購入した不動産を担保に大金を借り、手元に置くことができるわけです。
つまり、一定の現金がある人にとって、不動産投資は、
①不動産そのもの
②生み出される家賃
③その不動産を担保に入れて得る借入金
④購入した不動産とほぼ同じ額の現金
の、4種類の財産を手元に置くことになります。
これらを余すことなく使いこなしてこそ、不動産投資で利益が出るのです。
この4種類の財産で、投資対象が切り売りできないというデメリットを補い、さらに大きな利益を出すというのが、不動産投資という投資手法です。
例えば、1千万持って、土地と建物で1千万の中古物件に投資するとします。現金購入なら、1千万払って土地と建物を購入し、家賃が貯まってくるのを待ちます。
家賃が貯まってくるまでには時間がかかりますし、その間に修繕が発生する可能性もあります。
一方で融資を引く場合を考えてみます。売買代金の7割のローンが引けたとすると、頭金300万円を払うわけです。
すると、残りの現金が700万円、土地と建物のために借り入れたローンが700万円、1000万円相当の土地と建物がこの時点で手元に残ります。
単純計算ですが、足し込むとこの時点で総資産2400万円、現金だけでも手元に1400万円あることになります。
借り手がつけば、その中古物件から毎月7〜8万の家賃も入ってくることになります。2年間の普通借家契約なら、何もなければ168〜192万円が入ってくることになります。
ローンを利用すれば、1000万以上の現金を抱えつつ、2年間で150万以上の家賃を得ることになります。
これだけあれば、急な修繕や空室に備えつつ、手元資金の一部を利回り3〜4%程度の手堅い投資信託やETFに置くこともできます。
この場合、300〜500万を修繕費や急な出費の備えとして現金としておき、残りの1000万前後を手堅い投信に預けても、年4%の利息なら、40万円増えることになります。
税金で引かれるとしても、30万円、一ヶ月分の生活費くらいが、これだけで出ることになります。
スケールメリットが大きい分、利息や配当が小さくても、得られる額は大きくります。もしこの2年間、修繕や空室が発生しなければ、さらに儲かることになります。
この間もちろんローンの支払いはありますが、長期に返済を延ばしておくことで、毎月の収益が上がります。借金の負債が増える前に、不動産による事業収益を増やすことができるのです。
とられる利息以上のメリットがあるわけですから、融資は引いた方がよい、ということになります。
こうした長期的に大金を動かす投資では、こちらの事情に理解を示してくれる強い味方が必要です。
それが銀行や信用金庫、公庫との連携によるローンの活用というわけです。現金購入のリスクを補うものになり、スケールメリットを活かして利益を上げることができます。
2.物件の査定をしてくれる
このように、不動産投資においては、現金を手元に置くことで、リスクに備えながら高い収益をあげることが可能になってきます。
とはいえ、これは机上の空論です。実際には投資した不動産に借り手がつかなかったり、買った不動産の価値が思っていたよりかなり低かった。という失敗例も少なくありません。
そこで闇雲に融資を引くのではなく、信用のある金融機関から融資を引くことが大切になってきます。
つまり、銀行、信用金庫、日本政策金融公庫といった金融機関とのタッグで融資を引くということです。
こういった金融機関は、不良債権を最も嫌うため、融資実行時に銀行にそのものが物件の査定を行います。
当たり前ですが、借り手がつきそうなきちんとした物件か?いざ売却の時に一定の価値があるか?自分たちが融資する額を回収できるだけの価値が物件にあるのか?といったことは、銀行側も調べてから融資を決定するのです。
現金購入のときは、あなた自身の査定で購入しますので、購入者自身の目利きのみで購入することになります。よほどのプロ出ない限り、こうした購入は危険です。
実は何の価値もないボロ中古物件をそれなりの金額で購入させられる可能性するあります。
その点、融資機関は最低限の査定項目を持っていますから、銀行と組むことによって、物件の一定の価値を査定してから購入することになります。
豊富な銀行の持つデータや査定項目をクリアした物件を買うことになるため、ギャンブル買いになるリスクを減らすことになります。
また、購入者本人がこれは掘り出し物だ!と興奮して購入しようとしても、融資が降りずに待ったがかかることになります。
一瞬儲け話を失うような、チャンスを逸するかのような話に見えますが、リスクの高い物件を購入するよりはマシと言えるでしょう。
不動産自体はたくさんあるのですから、あらかじめ価値がない物件をわざわざ買う必要はありません。
銀行と組み、慎重に次のチャンスを待つ方が、無駄なリスクを負うことがなくなります。
3.取引の透明性について相談できる
また、売り手との取引においても、自分一人で購入する時に比べ、心強い相談者を得ることになります。
不動産売買の契約には、海千山千のテクニックが複雑に絡みます。
いまでこそ一般的には宅建業法や民法によって、取引の透明性は上がっており、消費者は守られつつあります。
ですが未だ購入者が後になって大損をしていたことに気づく事例も少なくありません。
そうした意味では信頼できる宅建士がいることも大切ですが、銀行は銀行自身が損したくないために、そうした契約が不利となっていないかどうか、宅建業や金融業のプロを集めています。
こうした銀行の組織的な力を借りることなどでも、個人投資家が一人で判断するよりはよっぽど安全性の高い取引ができるのです。
【付録】きちんと相談できる金融機関からローンを引こう
不動産投資において、融資を引くというのは、価値のある物件を買い、不利な取引をしないために、必要な味方を手に入れるということでもあります。
その意味で今回の記事は、1よりも、2や3で紹介した内容こそが重要と言えるかもしれません。
個人投資家にとって、相談できる心強い味方を得ることは、お金そのものより重要です。それだけに専門性が高く、信頼できる味方をどこで見つけるかが大切になってきます。
金融機関として個人的にもっとも相談しやすく、親身になってくれるのは、日本政策金融公庫ではないかと思います。
国の機関であり、個人事業のための金融機関ですので、資金繰りはもちろんのこと、事業や経営についても、専門性や信頼性の高い人を味方につけてくれます。
信用金庫や商工中金も、事業主にとっては強い味方となりうる金融機関です。
個人事業主が借りない方がいい金融機関については、過去の記事にもまとめてありますので、こちらもチェックしてみてください
こうした公的に信頼性の高い機関から手堅いアドバイスを受けつつ、勝負どころでは自分の判断を鋭く組み合わせる。これによって程よいリスクの取り方ができるようになるかと思います。
まとめ 取引の安全性を担保しながら、スケールメリットを活かそう
ここまでの内容をまとめると
1.現金を確保できる
2.物件の査定をしてくれる
3.取引の透明性について相談できる
がローンを組む本当のメリットとなります。
総じて、銀行や公庫のような巨大機関と組むことで、取引上の懸念や見えにくいリスクを排除し、融資によるスケールメリットでレバレッジの効いた収益を早期に確保する、、。
まさに不動産投資の醍醐味を味わいつくしての収益確保の手法となります。
とはいえ、個人投資家が不動産で安定して収益をあげるなら、むしろこの方法の方が手堅いといえます。
僕は現金購入で手持ちの不動産を増やしてきましたが、振り返ればよくこれで大丈夫だったなと思えますし、直近の購入では大失敗してしまいました。
とかく現金があると、人間強気になりがちです。銀行とのやりとりは面倒だし、スピード感がなく、むしろチャンスを逃すことになると、あなたは敬遠するかもしれません。
ですが、現金はまさに虎の子です。借金と不動産を等価交換させることを自己資本比率を下げる、などと表現しますが、できるだけ手持ちの現金は使わず、人の(銀行の)お金を引き出す(融資)ことで、あなた自身の取引がより安全になります。
虎の子の現金は、手元におき、大事に虎へと育てましょう。
あなたの不動産投資が、私がおかしたただの冒険ではなく、健全で安全性を担保した真の投資となることを願っています。