テクニカル分析の基礎を知ろう。価格変動をみるチャートの見方3選

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投資の分析方法のひとつ、テクニカル分析について、その中身を調べたことはありますか?

活用事例としては、よくFXの投資家などが、机の上に6枚くらいパネルを並べた中で、価格変動の表を見つめながら売買のタイミングをはかる、あの様子が代表的な姿です。

チャートといわれる表をつかって、株式や先物、為替などでよく価格変動の分析に使われています。ドラマやドキュメンタリーでもたびたび出てきますね。

縦軸に価格、横軸に時間を軸としたグラフをとり、価格の変動を追いかけていきます。かつてこのグラフに一定の法則がないかを研究した金融工学という学問がアメリカのウォール街を中心に一大トレンドとなりました。

今回はこのテクニカル分析について、ほんのさわりの部分に触れつつ、投資での活かし方についてご紹介したいと思います。

チャートに全ては現れる

かつて1990年代、チャートに一定の法則を見出してプログラム化して機械に打ち込み、法則通りにコンピュータに取引させることで、圧倒的な売買利益を生み出そうとした人たちがいました。

これがウォール街の金融工学を生み出した人々です。これ以降、あらゆるパターン分析、さまざまな指標が生み出されました。

産業革命やルネサンス以降、宗教に代わって徹底的に信仰されてきた科学の力が、ついに理解不能と思われた経済動向を駆逐するとすら思われたのです。

こうした分析の手法を、テクニカル分析と呼びます。

テクニカル分析においては、株価や先物価格にまつわる周辺情報、つまり世界の情勢や貿易の状態、各国の経済情報などをほとんど利用しません。

チャート上のグラフの動きのパターンだけで価格変動を読み切るという分析手法です。一方で世界の情勢や経済指標をもとに価格動向を知ろうとする分析を、ファンダメンタル分析と言います。

残念ながら、現在出ているテクニカル分析は、その全てにおいてチャートを読み切っているものは一つもありません。

しかし、過去の膨大なデータについては、このテクニカル分析の結果が大量に積み上がってきています。

おかげで、100%勝つことができなくても、このパターン分析のいくつかをうまく組み合わせることで、数%、もしくは数10%程度、儲けの確率を上げることができる人たちが出てきました。

こうした人々が口々に言うのは、投資に聖杯はないが、答えはチャートに出ている。という言葉です。

つまり、絶対的な必勝法はないが、勝てるヒントはチャートに現れる。ということです。

今回はテクニカル分析の主軸であるチャートの基礎的な読み方を3つご紹介します。もちろんこの3つで価格変動を読み切れるようなる、とは思いません。

ですが、一見不規則なチャートの動きに、勝ちを拾うための答えが見え隠れしていることを知ってもらえたら幸いです。

今回の記事で、ぜひ今後のあなたの投資スタイルに、あらたな風を吹き込んでください。

1.トレンドライン

チャートは、小さな売買を繰り返して、大きな流れを作ります。

ですから、その動きは、ギザギザの山のようなものになり、結局は上下もしくは横ばいの3種の方向のどれかにまとまっていきます。

このギザギザの上のラインや、下のラインのギザギザの先端に点を取ります。

そして、この点と点を結び、一つのラインを作ります。

このラインがトレンドラインです。右肩上がりなら上昇トレンド、右肩下がりなら下降トレンド。現在の価格の動向をざっくりと掴むことができます。

また、時間足といって、それぞれの時間ごとにできるローソク足で傾向をみるのもよいでしょう。その場合は、ローソク足のヒゲの先端に点を取ります。

1時間足のチャートで右肩上がりにみえても、4時間足では横ばい、日足では右肩下がりかもしれません。

また、このラインを引いた後、しばらく眺めていると、傾向が1方向に固まっている時は、ほぼ引いたラインを下回ることはありません。

これは、トレンドラインという考え方があまりにも教科書的でスタンダードなチャートの読み方になることによります。世界中の投資家が同じようにラインをひいて、チャートの傾向を見ています。

全員がそれをひとつの傾向としてみているため、ラインを割りにくくなるのです。

こういう状態のとき、市場は安定している、とか、落ち着いて推移している、などと表現されます。

このこと一つを知っただけでは、もちろんトレードで勝てるわけではありませんが、ひとつのチャートの読み方の基本としておさえておくと良いでしょう。

FXだけでなく、株、先物、コモディティ(金や銀、石油などの実物資産)投資信託、債権など、すべてのチャートに通じます。

各資産の価格を、いまこのとき世界全体がどう読み取っているのかを知ることができます。

2.レジサポ

いま紹介したトレンドラインは、必ず右肩上がりや右肩下がりのように、斜めに走っていくとは限りません。

一定の期間で見ると、ある価格付近で必ず反転する、という箇所があります。この価格のところで真横に線を引くのです。

どんなに勢いよく上昇しても、必ず跳ね返される価格のライン、またはどんなに下降しても、跳ね返されて上昇する価格のラインというものもあります。

これがレジスタンスラインや、サポートラインと呼ばれる真横の価格ラインです。

レジスタンスラインは、どんなに上昇しても、必ず跳ね返されて下降が始まる価格ラインです。またサポートラインはその逆で、どんなに下降しても、それ以上は下がらずに、反転して上昇を開始するラインのことです。

この二つのラインを総称してレジサポなどと呼んだりもします。レジサポの間を価格が行ったり来たりする状態をレンジ相場などといいます。また、サポートラインだったところがブレイクして、そのままレジスタンスラインに変わることもあります。これをレジサポ転換と言います。

不思議なことに、このレジサポのラインは、かなり長期にわたってチャートに存在し続けます。

このラインも、多くの投資家が引いている、教科書的なラインです。

例えばサポートラインをさらに割って下降した場合は、ラインを引いた一定期間の中で最安値を更新することになります。

これをきっかけに一気に価格が下がったりすることもあります。こうした現象をブレイクアウトといいますが、ブレイクアウト後に必ず価格が崩れて下降していくかは場合によります。

なんにしても、つかみどころのないチャートを分析する、一つの基本的な読み方である、ということです。

割とおもしろいのは、1分足や5分足でトレンドラインやレジサポラインを引くと、面白いようにそのラインで価格が反転するのを見ることができます。

一見不規則に見えるようなチャートも、人間があつかっていることを感じられる一瞬です。

3.三角持ち合い

期間によっては、また時間足によっては、右肩上がりと右肩下がり、両方のラインが割と綺麗にひける場合があります。

これがとくに、時が進むにつれて、すぼまっていくようになることがあります。最終的に下降ラインと上昇ラインが交わって、三角形のような形になります。

この形を、三角持ち合いといいます。これは、必ず上昇、下降のどちらかにブレイクすることになります。

この形からブレイクした場合、ボラティリティ(この後説明します)が小さくなったところからのブレイクとなりますので、反発力が大きい分、大きく1方向に動くことがあります。

もちろん、チャート読み方に聖杯はありませんので、この三角持ち合いからのブレイクで絶対に儲かるというわけではありません。

ですが、三角持ち合いの場合は、多くの投資家の読みが、上昇と下降で拮抗し、価格の動きが一つの同じ価格にまとまっていっている最中です。

ここで大口が一つの動きを見せ、ブレイクを起こせば、一挙に同じ方向に動いていく可能性は高まっています。

必ずそうなるわけではありませんが、チャートの動きには、そうした多くの投資家心理が現れてきます。

ただし、ここまでで分かることは、あくまで過去もしくは直近までの投資家心理と購買方向の事実のみです。

その後の価格がどう動くのか?上がるのか下がるのかは、こうした過去データを踏まえてあなた自身が判断しなければいけません。

この後、上がるのか?下がるのか?あなたが少数派につくことさえできれば、儲けることができます。

大衆や大口は、どう考えて次の手を打ってくるのか?こうした心理戦が、ここから始まるのです。

付録 ボラティリティ

以上三つは基礎中の基礎ですが、このほかにテクニカル投資家がよく使う言葉に、ボラティリティというものがあります。

ボラ。などと略して言われることが多いです。ボラが大きい、ボラが小さい、などと使われることがよくあります。

このボラティリティは、今後価格変動の起こりうる幅を示します。

例えば、米ドル円のチャートの1時間足くらいで見た場合、これまでの動きから、このあと推測しうる価格変動がある程度計算で決まってきます。

たった1時間で、上下2円の幅の場合もあれば、0.1円も動かない場合もあるのです。

この幅をボラティリティといいます。このボラティリティの幅が、売買のタイミングに関わることもある。ということです。

例えば、おおきな下げトレンドがあり、ボラが大きい場合には、さらに下がって行くと予想して売りを仕掛ける人がいます。

また、大きな下げトレンドの中にあっても、ボラが小さければ、これ以降下落はないとみて建て玉を手仕舞いする人もいるかもしれません。

さきほどの三角持ち合いの場合、価格の上下幅がだんだん小さくなっていくので、ボラが小さくなる、などと表現することがあります。

下降トレンドと上昇トレンドが交差するほどボラが小さくなると、その後は一気に反転してボラティリティが大きくなります。

トレンドが1方向に動きやすくなる場面、というわけです。

このような売買の仕方が正解かは分かりませんが、ボラティリティを判断材料として使っている場面を一例として挙げてみました。

ボラティリティの大小を、売買判断にどう活かすか。これは投資家の判断次第です。ですが闇雲に根拠のない売買を行うよりは、理由のある売買となります。

この売買の成否を積み上げて、さらに自分の取引の精度を上げていくのです。

テクニカル分析も、このように失敗と成功を何度も積み重ねる中で、勝つ可能性を高めていくのですから、長期戦になりやすいと言えます。

まとめ チャートは読みきれないが、儲かる確率は上げられる

ここまでの内容をまとめると

1.トレンドライン

チャートのギザギザの山の頂点や低点をとって、引いたラインのことです。上昇トレンドや下降トレンドなどで、現在の価格動向がどちらに向かっているかがわかります

2.レジサポ

上昇トレンドや下降トレンドを打ち返す一定のラインです。真横にラインを引くことができます。底値や天井などを推測する時に一つの指標になるでしょう

3.三角持ち合い

下降ラインと上昇ラインが交わる交点に向かって、価格の振れ幅がすぼまっている状態です。いったんブレイクすれば、小さくなったボラティリティからの反発となり、価格が大きく1方向に跳ねていく可能性があります

付録 ボラティリティ

価格の振れ幅のことです。ボラが大きいときは、大きく1方向に進みやすいですが、反転した時の振れ幅も大きい、という諸刃の剣になります。逆にボラが小さいときは、大きく価格が動く可能性は小さいですが、ひとたびその振れ幅をブレイクすると、大きく1方向に跳ねていく可能性も秘めています。

以上が、基本中の基本といえる、チャートの読み方となります。

もうあなたも感じておられるように、この三つの読み方だけで価格変動を読み切れるわけではありません。

特に最近は、このようなチャートの読み方が教科書的になりすぎ、むしろ古典化しているとも言われます。

大口の機関投資家などは、ブレイクアウトなどは当たり前に逆手にとって、初心者の投資家を欺き、莫大な利益をあげています。

人間がやっているからこそ、ある意味規則的で、ある意味不規則。だから絶対にチャートは読みきれない。これがチャートというものなのかもしれません。

市場分析のスペシャリストと言われる田渕直也さんは著書「ランダムウォーク&行動ファイナンス理論のすべて」の中で、市場の動きはランダムであり、人が読み切ることはできないことを解説しています。

チャートの動きは、世界中の投資家一人一人のその時の心理の動きを結果として数字やグラフに表しているわけですから、確かに法則など見出せないと思います。

しかしながら、おおくの投資家が負ける一方で、少ないながらも勝ちつづけて利益を出す投資家も一定数いる。これもまた事実です。

彼らは、ランダムな市場の動きに敬意を払いながらも、適当な判断ではなく、根拠を持ってトレードを行なっています。

ランダムな動きをする市場に、どんな規則性を見出すか。次の瞬間の世界中の投資家心理をどう読むのか。

そう考えると、チャートの次の動きに挑みつづける投資家の姿には、世界を相手にするスリルとロマンがあるのかもしれません。

チャートは読みきれなくても、その傾向をつかむと、儲けの確率は上がります。ぜひ知識の一つとして備え、あなたの投資根拠をより深みのあるものにしてください。

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